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「今年4月1日のペイオフ凍結の解除がいよいよ迫る中で、地方公共団体が扱う公金の預け入れ基準を示した“静岡方式”のもたらすインパクトはあまりにも大きい。かりにこの“静岡方式”が公金取り扱いのスタンダードになってしまったら、中小金融機関はまさに壊滅状態に追い込まれてしまうだろう−」
都内に本店を置く大手信金理事長がこう言ってみせる。
静岡県出納局は昨年12月11日、ペイオフ解禁に伴う金融機関の“適格基準”として以下に示す3条件を県下金融機関に提示した。
その“適格基準”とは、(1)外部格付け機関の格付けが“BBB以上(投資適格)”(2)株価の時価が発行価額の3倍以上(3)自己資本比率8%以上。
「とはいえ、静岡県の指定金融機関となっている静岡銀行、指定代理となっているスルガ銀行、清水銀行、静岡県信農連については、県議会から取引承認を受けていることを理由に、この“適格基準”の適用対象金融機関から除外されています。もっともこの4金融機関は基準を軽々とクリアしていることから問題はないのですが…。問題はそれ以外の金融機関なのです」(県下金融機関役員)
結局のところ、前述した“適格基準”の適用対象となる県内金融機関は、中部銀行、静岡中央銀行の第二地銀2行と、15の信金ということになる。
「問題なのは、この17の金融機関なのです。この17のうち、いくつかの金融機関は“不適格”ということになりそうです−」(前述の県下金融機関役員)
例えば、中部銀行の場合、自己資本比率が4%を下回って完全にこの“適格基準”に抵触するため、公金の受け入れは不可能ということになる。
「信金業界にとっても、この“適格基準”は非常に厳しい、と言っていいでしょう。もっとも、信金業界にとって問題となるのは、自己資本比率の部分だけなのです。株式会社でもなく、格付けを取得していない信金にとって、この“適格基準”をすべて満たさなければならないという県の方針は、県の公金運用先から信金業界を結果的に排除することにつながります。しかも、“自己資本比率8%以上”という基準は、国内専業金融機関の健全性の基準となっている4%以上をはるかに上回るもので非常に厳しい、と言わざるを得ない。われわれとしては、とても飲むことのできない内容です」(県下信金役員)
このため県下の信金業界は、静岡県に対して“適格基準”の見直しに関する要望書を提出したのである。
もっとも静岡県サイドは、「見直しをする必要性はない、と言っていいでしょう。3つの条件は、われわれとしても十分に検討したものであって、“自己資本比率4%以上”という基準に一本化することは考えていません」(静岡県担当者)
静岡県と県下金融機関との間で発生した“論争”の今後の推移については、要注目と言えるだろう。
そうした点に加えて、ここで注目したいのは、静岡県が設定した“適格基準”についてだ。
それというのも、ペイオフ解禁後の金融機関選びに大いに役立つと考えられるからだ。