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昨年の米同時多発テロ事件の影響で滞っていた日米の経済協議が、17日に予定されているブッシュ米大統領の初来日を機に本格的に始動する。昨年10月から延期されていた日米財界人会議も17、 18の両日、米ワシントンで開催されるほか、両国の経済協議では初の試みとなる民間の出席者も加えた「日米官民合同会議」も4月をめどに開催される。景気底打ちの兆しが見え始めた米に対し、なお低迷に苦しむ日本。ブッシュ−小泉両政権のパートナーシップはどう進展するのだろうか。
経済産業省で対外経済関係を担当する複数の幹部は、年末から1月にかけて米政府要人との接触などを通じて対日スタンスを探った。米側はやはり、発足後9カ月以上経つ小泉政権が、構造改革や不良債権処理の結果を出すことを求めているという。ただブッシュ政権は、クリントン政権のように個別具体的分野で外圧をかける政策に転換することはなく、共に経済成長を目指すパートナーとしての関係は崩れていないと口をそろえる。
ある幹部は、米国は日本の景気回復の遅れに苛(いら)立ちを感じているものの、両国の目指す方向は一致しているため摩擦は起きない、と指摘。一方で、日本に対し、「数学」だけでなく「理科」も勉強したら、という程度のアドバイスはあるかもしれないと説明し、基本的には日本の主体性を尊重する姿勢は変わらないとの見方を示唆している。
オニール発言がすべてではない
そんななかで注目されたのが、1月に来日したオニール米財務長官の発言だ。同長官は、為替レートで生産性の改善や不良債権問題の解決はできないと強調、人為的な通貨価値の引き下げは経済を弱体化させるとして、円安傾向にクギを刺した。一方で、平沼赳夫経済産業相との会談では、日本は3%程度の成長をすべきだと提言し、クリントン政権初期に見られたような「数値基準」を彷彿(ほうふつ)とさせる発言まで飛び出した。
こうした発言を敏感にとらえ、外国為替市場でも米政府の対日政策の行方や、オニール長官の発言を一段と注視している。米国内の製造業者は円安の進行に懸念を示し、30日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米ゼネラル・モーターズ(GM)は、ブッシュ大統領に対し日米首脳会談で、円安誘導しないよう日本政府に提起するよう要請したと報じた。
JPモルガン・チェース銀行為替資金本部グローバルインベスター部の池田一郎部長は、日米首脳会談を控え、「市場は神経質になる可能性がある」と指摘する。ただ、「(東京での)オニール発言ですべて判断すべきでない」と強調、米政府は今のところ対日貿易不均衡についてはそれほど問題視しておらず、為替市場の大きな要因に発展しないだろうとの見解を示した。
事実、米通商代表部(USTR)のハンツマン次席代表は1月24日の講演で、日米の貿易不均衡について問われ、対日貿易赤字については「マインドフル(留意している)」と述べながらも、電気通信分野、エネルギ―分野などでの規制緩和の重要性をより強調した。
日本の財界も、特に緊迫感を感じていない様子だ。経団連の久保田政一・国際経済本部長は、「米国が求めている規制改革や商法改正などの内容は、経団連が求めているものと一致している」と述べ、「摩擦があるものではない」と述べる。
米国の対日貿易赤字はピークの3分の1以下
日本貿易振興会によると、両国とも中国との貿易取引が拡大するなか、米国の貿易赤字に占める対日赤字の割合は貿易摩擦が起こった1991年のピーク 66%から、2000年には19%と3分の1以下になっている。
ベーカー米駐日大使は1月29日、日本外国特派員協会での講演で、日米経済が共に繁栄していくことの重要性を強調し、レクチャー(具体的指示)はしないとの見解を示している。そのうえで、来日するブッシュ大統領は、小泉純一郎首相の推進する構造改革に対する支持をあらためて表明するだろうと述べた。
ただ、摩擦が生じないからと言って、日本が何も期待されない「駄目なパートナー」の座に甘んじてしまうわけにはいかない。米国経済が底打ちの兆しを見せるなか、日本経済は依然として低迷を続けている。米国による過去のさまざまな「外圧」は、日本の構造改革をもたらした。それが無くなった今、日本は、自らの足で立ち構造改革を断行していく姿勢と、それによって実際に結果を出すことが、今後のさまざまな経済協議で求められる可能性はある。
一方で、日本政府も個別分野に目を転じると、米側への注文は少なくない。例えば、米鉄鋼業界への保護主義的な反アンチダンピング(不当廉売)措置などの乱用は大きな懸念の1つ。国際貿易委員会(ITC)の勧告を受けブッシュ大統領が3月6日までにセーフガード(緊急輸入制限措置)発動を決定する見通しだが、そうなれば、欧州、韓国、日本、ブラジルなどの鉄鋼業界は多大な影響を受ける。こうした問題を、「パートナーシップ」のなかでどう消化していくかも重要だ。