★阿修羅♪ 国家破産6 ★阿修羅♪ |
今年四月のペイオフ(定期預金などの払い戻し保証額を元本一千万円とその利息までにする措置)解禁を目前に控えて、農林中央金庫をはじめとする農林系金融機関(JAバンクグループ)は安全網を強化するため、独自の破綻(はたん)防止システムを作りあげた。農中と農協や信用農業協同組合連合会(信連)の関係を大手銀行の本店と支店の関係に見たて、農中が農協、信連の経営内容を把握し、場合によっては農協から信用事業を強制的に取り上げて信連などに譲渡させる。(気仙英郎)
すでにこのシステムは稼働しており、農水省と農中は三月末に向けて経営監視を強め、約百兆円ある農協貯金の流出などを未然に防ぐ方針だ。
農中と全国信連協会がまとめた自主ルールによると、信用事業を営む農協と都道府県単位の信連の自己資本比率を8%、6%、4%の三段階に分けて、それぞれ融資や資金運用に制限を設けるなどの措置を取る。
さらに自己資本比率が4%を下回ったり、情実融資などの問題が発覚した場合、農協は信連に、信連は農中にそれぞれ信用事業を強制的に譲渡させることにした。
一方、JAグループの預金保険機構にあたる「貯金保険機構」の基金を活用し、ルールに従う農協に対しては経営支援をおこなう。
こうしたシステムは金融庁と農水省が共管する農協信用事業に対する検査・監督を農中が一部代行し、官庁は農中を監督するピラミッド型の経営監視方法だ。農水省は以前、住宅金融専門会社(住専)の不良債権問題が噴出した一九九〇年代半ばに信連を農中に統合して信用事業を各農協と農中に二元化する方針を打ち出した。
しかし、信連の統合は進まず、問題農協を破綻させて他の農協に統合させる方式も不良債権を抱えたまま、ずうたいだけが大きくなるだけだった。
その間に、平成十一年の長崎市農協の大型破綻などが相次ぎ、農水省は経営の健全性を常時監視する役目を農中に設置する「JAバンク指導統括室」が担う方式に転換することにした。
同省経営局の奥原正明・金融調整課長は「強制力を伴うJA監視システムができた。JAブランド維持のためには破綻は起こせない、との危機感が生まれつつある」と語る。
各農協は独立性の喪失と引き換えに経営監視ネットワークを構築したわけで、JAグループの信用事業は今後、農中へ一体化する動きが加速していく見通しだ。