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大手銀行は金融庁の特別検査に悲鳴をあげている。金融庁はいま“不良債権調べ”のため大手各銀行に本格的な検査に入っているが、審査部門や企画担当者、果ては融資部門まで、次から次と要求される資料などの調査や作成に追われ、「本来の仕事がほとんどできない」と、金融庁による“業務妨害”に困り果てているのだ。
「通常検査に、フォローアップ検査。そして特別検査と年中検査だらけ。こんなことなら米国のように検査官が常駐した方がいいんじゃないですか」
大手行の企画担当者のストレスはここ1年ピークに達している。それでも検査官との窓口になる企画担当者の場合はまだいい。実際の検査資料を作成する審査担当者の勤務状況は目を覆うばかりだ。
「取引先企業の財務状況を記載したラインシートの作成、行内格付け、担保評価、債務者区分、キャッシュフロー、担保評価には鑑定評価も参考資料として添付する。それらを担当の支店とすり合わせなければならない。3カ月に1度の自己査定がベースだが、難しい案件は、検査官と意見の対立がしばしばだ」
審査部門が検査官に負け、メーン先企業の債務者区分を引き下げられれば、即、銀行は引き当ての積み増しを迫られる。それが多発すれば赤字に転落する可能性がある。数百億、数千億円単位で貸し込んでいるゼネコン、流通、商社、不動産、ノンバンクといった大口の過剰債務企業の検査には神経をつかう。仮に債務者区分が要注意先から破(は)綻(たん)懸念先に移されれば、新規融資は難しく、当該企業は資金繰り破綻することになる。
金融庁は、こうした大口の過剰債務企業を対象とした「特別検査」に昨年10月末から着手。12月中旬までに一巡し、この1月16日から第2巡目に入った。
「第1巡目の検査が、昨年9月末基準の自己査定をベースとしているのに対し、2巡目以降の検査では、12月末基準の資産評価を基本とする。2002年3月期決算を視野に入れた検査となる」と金融庁は語る。
ただ、当初は12月に実施した最初の検査で債務者区分について銀行、監査法人と金融庁の、いわゆる「3者協議」で見解が対立した貸出先を重点的に検査することになるのだという。
「マンパワーの限界もあり、3月にかけて各行まちまちのスケジュールで断続的に実施していく。ご協力をお願いしたい。風評が非常に立ちやすく、リスキーな検査手法であるが、情報管理の徹底をお願いしたい」
金融庁の五味廣文検査部長は、特別検査の真中、大手行の役員との会合の席上、こう協力を求めた。
一方、“金融危機”を前に、金融庁の職員もへたり込んでいる。人が足りないのだ。
「土、日の出勤が恒常化している。午前3時までの残業が当たり前で、ストレスで病院通いのものや、救急車で担ぎこまれた者もいる。大蔵省時代よりも労働条件は悪化した」(金融庁中堅)とSOSを発信する。ようやく増員の予算措置が取られたものの、実際に人が増えるのは2002年度からだ。
「金融危機」と「検査」のいたちごっこを前に、金融庁、民間金融機関とも疲弊しているのが実態だ。それでも市場は待ってくれない。次の破綻企業を探している。