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明治生命(生保業界4位)と安田生命(同6位)の合併が決まった。1月24日、金子亮太郎・明治社長、宮本三喜彦・安田社長が記者会見して発表した。現在の相互会社のまま2004年4月に完全合併。新会社は総資産で住友生命を抜いて3位に浮上する。低金利と株価低迷で収益が悪化する中、金融グループのワク組みを超えた意外な組み合わせに、生保関係者からも驚きの声が上がった。生保業界も本格的な「大合併」の時代に突入した。
平野純一=編集部
勝ち組生保も焦り始めた
新会社発足の2004年4月まであと2年2カ月。このタイミングでの統合決定について、宮本三喜彦・安田生命社長は「システム統合には時間がかかる。逆算して決めた」と述べた。金子亮太郎・明治生命社長はすかさず、「合併でスケールメリットが生じる。この業界ではスケールも信頼につながる」と続けた。
仮に合併をしないまま2年が経過したとして、「勝ち組」と言われる両社でも、果たして現在の規模のまま04年に生き残っていられるのか――という危惧を両社長が持っていたことは間違いない。
その認識は同じでも、今回の合併は、三菱グループの明治生命と、芙蓉グループ(富士銀行=みずほ)の安田生命という、”ねじれた関係”となる。だが、両社を急速に結びつけたのは、明治が東京海上火災を中心とするミレア保険グループに入ることを最後まで拒否し続ける一方で、安田も、仮にみずほグループ入りしたとしても第一生命の風下になることは避けられず、埋もれてしまうだけだと感じていたからだ。共に独自路線を模索していた同士が気が合ったという図式である。
金子・明治社長は「損保と一緒になることにメリットはない」と言い切った。宮本・安田社長も、みずほというビジネスモデルに疑問を感じていたのではないだろうか。明治と安田の規模の差からいえば、合併新会社が三菱グループ寄りになることは避けられないが、宮本・安田社長の「それは問題の本質ではない」という考えが、決断に導いたと思われる。
生保の合併は一般に、いわゆる逆ざや問題が解消されるわけではなく、過去の契約者を管理するシステムは、合併してもそのまま残さなければならないためメリットはない、とされてきた。
しかし、会見で両社長は、システムが同じ日本アイ・ビー・エムで統合が比較的容易であること、両社が得意とする顧客層が異なっていることなどを理由に、合併メリットが生じることを強調。特にシステムでは、合併後20%程度のコスト削減になると説明した。
さて次の再編である。日本の人口は今後確実に減少していき、マーケットが縮むことは明らか。また、日経平均株価が1万円で大手生保のうち株式含み益を確保できるのは2〜3社とみられ、現状の株価水準が続けば、ほとんどの生保は体力維持が苦しく、今後も何らかの再編は避けられない環境にある。
焦点は、「明治・安田生命」の誕生によって、総資産で抜かれた形の住友生命がどう動くかという点だ。すでに提携関係にある三井生命との合併が早まる可能性は十分ある。三井住友銀行も、将来的な展望としては持ち株会社化があり、その傘下メンバーを早く固めたい意向もある。
7月には、横山進一・住友生命社長が生命保険協会の会長に就任する予定。本来なら朝日生命の藤田譲社長が就任するはずだったが、一連のミレア保険グループ入りの騒動で、辞退した経緯がある。横山社長が生保協会会長に就けば、再編に向けた具体的な動きが制約される可能性もあり、住友生命が自分の身の振り方の判断を早める方向に働くことは間違いない。