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老後の安心を支える公的年金制度が揺らいでいる。
少子高齢化の急激な進展により、世代間の“仕送り制度”にほころびが目立ち始めた。
公的年金制度への不信や不安が高まる中、二〇〇四年の次期年金改革に向けた論議が、社会保障審議会年金部会でスタートした。
今月末にも公表される出生率予測では少子化が一段と進む見通しで、年金財政もさらに悪化しそうだ。次期改革では年金財政の抜本的な立て直しとともに、公的年金への信頼回復をぜひとも成し遂げなければならない。
困難な課題が山積しているが、先送りは許されない。世代対立を超えた、長期にわたる「安心の設計図」を国民に明示すべきである。
年金受給者は約二千八百万人に上り、終身保障としての公的年金の意義は極めて大きい。だが、高齢者の年金を支える現役世代の負担は重くなる一方だ。
制度改正のたびに給付水準の抑制と負担増が繰り返されてきた。それが「将来不安」をあおる結果ともなっている。
負担できる保険料と、それに応じた年金給付額の水準を明確にすることが、まず必要だ。頻繁な制度改正によるのではなく、人口変動や経済状況に応じ、自動的に保険料や給付が調整される仕組みも検討すべきであろう。
社会保障に「損得論」はなじまない。とはいえ、極端な世代間格差も困る。給付と負担のバランスをどう取るかは難しいが、持続可能な制度を構築するには、各世代の譲り合いが不可欠だ。
基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるための財源確保も重要な課題である。保険料負担を軽減するためだが、二〇〇四年度で二兆七千億円の新たな財源が必要だ。消費税の福祉目的税化の論議は避けて通れない。
「空洞化」の対策も急務だ。国民年金の未納・未加入者の増加は制度の根幹にかかわる。「負担逃れ」には強制徴収など厳しい措置で臨むべきだ。若い世代への年金教育の充実も欠かせない。
制度の支え手を増やすことも大切である。厚生年金の加入要件を緩和し、適用対象をパート主婦らに拡大したり、所得・資産のある高齢者に応分の負担をしてもらえれば、財政基盤が強化できる。
老後の生活をすべて公的年金で賄うのは難しい。自助努力とともに、それを支援する環境づくりも一層求められる。
年金改革は、単に年金制度だけの問題ではない。税制をはじめ、女性や高齢者が働きやすい雇用環境の整備など、幅広い視点から検討すべきだ。