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日本航空<9201>(JAL)と日本エアシステム<9203>(JAS)の経営統合発表後、ライバルの全日本空輸<9202>(ANA)の動きが注目されていが、ANAが外資のエアラインと資本提携するのではないかという見方が急浮上している。ANAは、ドイツのルフトハンザ航空、米国のユナイテッド航空、それにシンガポール航空という日米亜の3極が軸となるエアラインを中心とした航空連合(スターアライアンス)に加盟し、コードシェアをはじめ、チェックインカウンターやラウンジの共用といった協力関係を結んでいる。ただし、これは協調と競争の両面があり、ANAにとっては、普段は良きライバルである。
●国際線は赤字続き
米国の同時多発テロ事件以降、旅客数の大幅激減などで経営不振に見舞われている航空各社は収益基盤の安定に向けた事業の見直しに必死である。また、今年9月には、JALとJASの民族派連合(事業の完全再編は2004年春)が出現する。今でもANAの国際線は1986年に参入して以来、赤字路線を多く抱え、一度も黒字化したことがないだけに、この先、さらに劣勢を強いられるのは避けられない。
そこで、ANAはスターアライアンスのメンバー、とりわけ、3極の要となる前述の3社と、より一層関係を密にして民族派連合に対抗する必要性に迫られている。つまり、この3社と相互に資本を持ち合うところまで踏み込んだ提携に発展する可能性が出てきたというのである。
国際線を断念するのならば話は別だが、ANAは「オール・ニッポン・エアウェイズ」の略ではなく、「アジア・ニッポン」、さらに、「アジアン・ナショナル・エアウェイズ」に脱皮したいとしている。ならば、成田を中継地にして、欧米の長距離路線は、ルフトハンザやユナイテッドとの協力をフル活用して国際線の劣勢を補う手もある。それには、相互に資本を持ち合うところまで踏み込む必要がある。
●カードは何でも使う
現在、航空業界には外資規制があるため、海外エアラインが日本の航空会社を完全に傘下におさめることは難しいが、ある程度の緩やかな資本提携ならばJAL・JAS連合の対抗軸を育てるという意味でも国策に沿う。ネックは、ANAがアジア重視を打ち出しているだけに、同じアジア組でナンバーワンの実力を持つシンガポール航空との補完をどうするのかという点だ。
ただ、この問題についてもシンガポールは国土が極端に狭く、国内線がない状況で、シンガポール航空は観光立国を担って欧米の長距離線にかなりネットワークを広げている。とくに、近距離は手がまわらないため、傘下のローカル線・シルクエアラインなどに委託しているほどだ。
ANAとシンガポール航空の関係でみると、成田―シンガポール線のみANAが譲歩すれば、そのほかのアジア全域は、スターアライアンスの中で、ANAが受け持つという構図が成り立つわけである。この点、ANAの首脳も「巻き返しのために使えるカードはすべて使う」などと、前向きの構えをみせている。JAL・JAS連合が誕生した場合、ANAが無策のままでいるとジリ貧になるのは目に見えているだけに、生き残りを賭けて、ANAが外資連合と資本提携を含めて急接近する可能性は極めて高い。