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小泉首相が、政府税制調査会に税制抜本改革の検討を指示した。消費税導入以来十三年ぶりとなる。税制改正は例年、年末の予算編成作業の中で、短期間に処理されてきた。年明け早々に議論を始めるのは異例だ。
小手先の改正を積み重ねた結果、日本の税制は極めて複雑で、分かりにくいものになってしまった。財源調達という基本的な役割も果たせていない。改革の必要性はだれもが認めるところだろう。
首相の異例の指示は、本格的な税制改革に腰を据えて取り組もうとする決意の表れと、好意的に受け止めたい。
しかし、一歩、具体論に踏み込めば、鋭い対立が待ち受けている。閣内ですら景気刺激の観点から投資減税などを求める竹中経済財政相と、財政再建のため消費税増税も検討したいとする塩川財務相の思惑は、大きく異なっている。
財政再建はいずれは取り組まねばならない重要課題だが、性急に行えばデフレ傾向を加速する。議論に際しては、この現実を共通認識とすべきだ。
政府税調には、簡素で公平な理想の税制を追求する中長期的な作業と、成長力回復を支える当面の対策の検討を同時並行的に進めることが求められる。二つをしっかりと仕分けし、それぞれの具体案を国民に分かりやすく示してほしい。
中長期的には「税の空洞化」に、どう歯止めをかけるかが、大きな課題だ。
一九九九年、全国就業者の23%に当たる千五百十一万人が、所得税を納めなかった。各種の控除が手厚く設けられ、課税最低限は世界最高水準になっている。「薄く広い」所得税に向け、課税ベースの拡大とそれに伴う課税最低限の引き下げが避けられない。
同様に、二百五十三万社ある法人の70%は赤字で、法人税や地方税の法人事業税を納めていない。このうち行政サービスの対価という性格の強い法人事業税には、外形標準課税を導入し、赤字法人にも少額の課税を求める必要がある。
社会保障の水準を維持するには、消費税率の引き上げも視野から外せない。
だが、デフレを完全に克服するまで、こうした負担増に踏み出すわけにはいかない。今できるのは、景気がどこまで回復したら、どんな負担増を実施するかという工程表を示すことだ。
短期的には、減税による景気刺激効果を重視すべきだ。極端な累進税率が放置されている相続・贈与税の軽減、売買の時期によって適用される税制が分かりにくくなった株式譲渡益課税の見直し、バブル退治の遺物が残る不動産関連税制の改革などに全力で取り組むべきだ。