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ペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利子までとする措置)が4月に解禁されるのをにらみ、自民党は金融危機の対応策作りに本腰を入れる構えだ。ただ、党内には「備えは万全」と強調する政府への不安がくすぶっているものの、独自の妙案はないのが現状。与党挙げての「ペイオフ先送り」大合唱も小泉純一郎首相の解禁方針を覆すことはできず、空振りに終わった後だけに、浮足立つ姿が目立っている。
「取り付け騒ぎが起これば、預金は短時間で流出する。何分でそれに対処できるのか」
22日の党緊急金融システム安定化対策本部。党五役らに「十分対策を取ってきた。ペイオフを解禁しても大丈夫だ」と自信をみせる柳沢伯夫金融担当相に、麻生太郎政調会長が迫った。
個別行の経営不安が金融システム全体を揺るがす事態に備え、政府は「危機管理対応勘定」に15兆円を用意している。この公的資金投入には「金融危機対応会議」(議長・小泉首相)の判断が必要だが、麻生氏の真意は「場合によっては金融担当相の瞬時の判断で投入を決断する覚悟があるのか」にあった。
柳沢氏は危機回避のため手を尽くす考えを強調した。だが麻生氏は会議終了後、周囲に「(柳沢氏は)話が長いばかりで結論が分からない」と不満を漏らした。
党が政府側を「認識が甘い」と突き上げる姿が目立っているのは、「3月金融危説機」が本物になったりすれば「党も批判される」との懸念があるからだ。
このため、党内には危機管理勘定15兆円の増額や、預金保険法の規定を適用して預金の全額保護に踏み切る案などが浮き沈みしている。
だが、15兆円を増額することは「政府は銀行救済ばかりに金をつぎ込むと国民の批判を浴びかねない」恐れがある。党幹部の一人も「増額しなくても日銀の特別融資などいくつか対応策はある」と、否定的だ。
党内の一部には、ペイオフ後も預金の全額保護策を講じるべきだとの声が根強くある。
だが、24日の衆院予算委員会で民主党の池田元久氏が追及したように、これは「制度上ペイオフは解禁するが、適用は見送る」ということを意味し、ペイオフ解禁先送りと変わらない。預金者を含め、金融機関の経営に緊張感を持たせる、というペイオフ解禁の目的は骨抜きになる。
自民党は今月、政調会長直属のデフレ対策特命委員会を新設。公明、保守両党にも呼び掛け与党全体でペイオフ対策に乗り出す方針だ。
しかし、ペイオフ先送りに期待する向きが多かった分だけ、議論の立ち遅れは否めない。与党主導の独自案づくりは難航しそうだ。【川上克己】