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不良債権処理の焦点が再びゼネコン(総合建設会社)に移っているが、企業の将来性を見据え、銀行による「再建」と「破たん」両にらみの選別作業が始まった。昨年末に青木建設が民事再生法を申請したことから、ゼネコン破たんが続くとの観測が浮上したが、ダイエーの再建支援などのように「今後規模の大きいところは再編による再建型が主流になるのでは」と、風向きの変化を指摘する見方も強い。
◆銀行主導?で再編
「三井建設と住友建設の経営統合検討開始は、三井住友銀行の主導」―。23日、両社の統合構想が表面化し、建設業界にはこんな見方が広まった。ある関係者は、「両社だけでなく、同行の融資先である複数のゼネコンも含めた再編になるかも」と予想する。
不良債権御三家といわれる建設、不動産、流通。流通はマイカルの破たんやダイエーの再建計画策定など処理が進みつつあるが、過剰債務企業がひしめくゼネコンの処理は、いまだ途上だ。
ただ、青木の破たん後、不良債権問題の重さや銀行体力のぜい弱さが改めて嫌気され、銀行の株価も下落。このため、銀行や金融庁は法的処理以外の多様なシナリオも描いている。
銀行側は、融資を帳消しにする債権放棄や、貸出金(企業には債務)を株式転換するデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)、企業分割、合併など様々な手法を活用したい構えだ。
◆国交省も後押し
柳沢伯夫金融担当相は22日、「信頼される再建計画の策定や再編で(国土交通省の)協力を期待したい」と発言。扇千景国土交通相も同日、「なるべく技術を保持しながら、失業者を一人でも少なくする」と、破たんより再編の姿勢を匂わした。
事実、国交省と接触するある準大手ゼネコン役員は、再編への強い期待が最近とみに高まっているのを感じるという。国交省も、個別企業の枠組みを超えた再編に機動的に対応できる制度整備を急いでいる。
ゼネコン再編がこれまで進まなかったのは、「1+1が2にならない」という特殊性にあった。だが、バブル崩壊で背負い込んだ過剰債務を、縮小が続く建設市場返済するのは至難の業。「(不振ゼネコンの多くは)事実上の銀行管理で、当事者能力は低い」(準大手幹部)との声も強い。
◆残る淘汰の可能性
もちろん、再建型処理がどのゼネコンにも適用されるわけではない。債権放棄を受けた青木建設や殖産住宅相互が、結局破たんに追い込まれたように、「債権放棄は問題の先送りに過ぎない」との批判も強い。
3月末決算期が近づいている。銀行の厳しい選別にさらされる経営不振ゼネコンには、「淘汰」か「再編」かの試練が待ち受けている。
[毎日新聞1月26日] ( 2002-01-26-21:15 )