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低迷する株式市場で「公的年金資金」が注目されている。「2月、3月危機説」が取りざたされる中、政府による「株価維持操作(PKO)」が連想されるためだが、その実体や効果は不透明なうえ、PKOそのものに対する批判も根強い。
行財政改革の一環として、厚生労働省所管の特殊法人「年金資金運用基金」は、01年度から年金積立金を全額自主運用している。このため、株式市場では07年度にかけて毎年1兆〜1・5兆円の新規の買いが見込めるとされ、基金は「相場を下支えする救世主的存在」(大和総研)に映り、従来より注目されるようになった。
実際、日経平均株価が1万円の大台割れに迫った25日も、市場では「公的年金が買いに入るとの思惑で下げ渋った」との解説が聞かれた。実証は困難だが、この資金は信託銀行を通じて市場に流れるので、東証が発表するデータから信託銀行の買い越し・売り越し幅を調べれば、公的年金の動きを推測できる。
01年を見ると、信託銀行は持ち合い株解消売り圧力が強まる本決算・中間決算期末を控えた2月や8月などに買いを入れる半面、日経平均が一時1万1000円台に回復した11月には売った様子がうかがえる。年金資金と連動しているとは言い切れないが、市場では「基金は政府との『あうんの呼吸』で運用している」との見方が根強く、PKOは半ば既成事実となっている。
しかし、PKOの「株価維持能力」については評価が分かれるうえ、「即効的効果はあっても、買いが終われば元の(適正)株価に戻る」(山崎元・三和総研金融本部主任研究員)との指摘もある。株価維持を目的に適正株価より高値で投資しているなら、そのリスクは国民に降りかかる。そもそも「買い手・売り手の一方に公的な力(基金)が加わるのは不公正」(山崎氏)との批判も多い。
特殊法人改革の影響も見逃せない。昨年12月に決まった政府の特殊法人等整理合理化計画では、基金は「廃止も含めて検討」とされた。廃止に伴って国による直接運用に移行されると、株式による運用は事実上不可能になる。相場にはマイナス要因だが、PKOの将来を案じるより「配当課税撤廃などの継続性のある対策を講じる方がいい」(山崎氏)と言えそうだ。 【吉原宏樹】