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銀行の取引先選別が厳しさを増す中、経営不振のゼネコンが再編に向けようやく重い腰をあげようとしている。2001年3月に取引金融機関から総額1420億円の債務免除、いわゆる借金の棒引きを受けた三井建設<1821>と、同じく準大手ゼネコンの住友建設<1823>が技術提携で交渉を進めていることが表面化したのだ。経営統合については両社とも「現段階では視野にない」と否定するものの、両社とも主取引銀行が三井住友銀行<8318>であることから「永田町や金融機関の腹ひとつで一気に経営統合にまで発展する可能性も完全に否定できない」との見方が根強い。
「1プラス1は1にしかならない」と言われ、統合・合併メリットはゼロと言われ続けたゼネコン業界だが、聖域なしの構造改革の嵐の中で、身を守るためには手段を選んでいられないとことにまで追い込まれている。
●再編迫る政府・永田町
「はじければ社会問題にまで発展する」と言われたダイエー<8263>の再建問題に一応の決着が付いた22日、柳沢伯夫金融担当相がゼネコンの再建、業界再編について「(所管官庁が)ダイエーの事案のように自分たちが持つ情報やノウハウを基礎に、信頼される再建計画や再編を考えてくれると思う」と発言、波紋を呼んだ。
バブル崩壊直後の景気後退期には景気対策と銘打ち、大型公共工事をばら撒いては、ゼネコンを守ってきた国土交通省も昨年12月の青木建設<1886>破綻以降は「ゼネコン淘汰も時代の流れ、抗えない」(同省幹部)と諦め気味だったが、柳沢発言を受け俄然、再編に向け暗躍し始めた。三井・住友提携交渉の表面化はまさにその直後の出来事、これを皮切りにゼネコン業界が一気に再編に向け動き出しそうな雲行きなのだ。
●いいなづけの三井・住友建
実は三井建設と住友建設の組み合わせは住友銀行とさくら銀行が合併を決めた時から、ゼネコン業界では何度もとり沙汰されてきていた。マンションなどいわゆる“ウワモノ”の建設を得意とし、建築で名をはせる三井建設と、土木に強い住友建設は、相互補完関係にある。「合併してしまえば、ふたつあった公共工事の入札機会も1回に減る実害もある」などの理由で再編がタブーされてきたゼネコン業界だが「もし、あるとすればこの組み合わせ」とまでささやかれ続けてきた。
三井住友銀行が誕生して以降は、三井建設が債務免除で信用力がやや低下した面もあったせいか、受注工事の相互融通などもあった模様だ。このまま提携交渉にとどまらず、統合にまで発展する可能性は十分にあるといえる。
(日向 陽太郎)