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生命保険業界4位の明治生命保険と6位の安田生命保険が2年後に合併することで基本合意した。これまでなら、再編の動きが遅れていた生保業界で変化が出始めたとして、株式市場では業界再編による経営効率化をはやすムードが広がっていたことだろう。しかし、3月決算期末を控えて金融システム不安の再来がまことしやかにささやかれ、持ち合い(経営安定化のため相互の株式を保有し合う仕組み)解消など、金融機関による株式の売り圧力の増加が指摘される現在、生保再編の動きは新たな需給圧迫要因として警戒されているようだ。
生保再編が株式市場の新たな売り圧力になるとみなされる背景には、投資主体別売買動向で、ここ最近、生・損保が売り手の主役として台頭してきたことがある。
1990年代後半からの東京市場では、海外投資家による買いに対し、金融・事業法人による持ち合い解消売りが交錯するという構図が定着。実際、持ち合い解消売りの主役である都・長・地銀、生・損保、事業法人の3セクターの売り越し額合計(コメルツ証券調べ)をみると、例年持ち合い解消売りが最も増えるといわれる1−3月期で、97年は7583億円、98年は1兆2873億円、99年が1兆7936億円、2000年が1兆8834億円、2001年が1兆1503億円に達した。
特に昨年に関しては、生・損保が5190億円で3セクターのうちでは最大の売り越し額を記録。直近ベースでも、昨年10−12月期は都・長・地銀の4492 億円には及ばないものの、2059億円を売り越している。
昨年後半にかけ、政府が金融機関のリスク資産の保有を制限する方針を明確にしたことを受け、生保業界でも朝日生命保険が保有株式を2001年度から3年間で5000億円を削減する方針を示すなど、資産リストラの動きが表面化した。一方、昨年9月に米国で起きたテロ事件などとの絡みでは、再保険契約による多額の損失が発生した大成火災海上保険が経営破たんし、複数の中堅損保が赤字転落に追い込まれるなど、生・損保からの株式売り圧力は強まりやすい環境にあり、市場関係者の多くは生・損保の動きに戦々恐々としている。
コメルツ証券の一尾仁司ストラテジストによると、これまでの持ち合い解消売りの主体となっていた3セクターのうち、事業法人には自社株買いの拡大や時価会計導入による売り急ぎの減少、都・長・地銀には「銀行等保有株式取得機構」の設立や、東京三菱銀行によるETF(株価指数連動型投資信託受益証券)への保有株式拠出など、売り圧力を緩和させる材料が浮上している。 しかし生・損保に関しては、業界全体で逆ざや解消や資産運用見直しなどの大きな問題を抱え、「1月の出足の売り越し額が大きい生・損保は、昨年に続いて今年も最大の売りセクターとなる可能性がある。本日の明治・安田生命の合併のニュースも、統合化の波を強め、資産圧縮・スリム化を連想させる」という。
東海東京証券の五十里忍エクイティ部長も「需給面からは生・損保の動向が最大の注目点となる。今回の明治生命と安田生命の合併をきっかけに生保の整理・淘汰が進むとみられるが、有価証券の評価損がソルベンシー・マージン(保険金支払い余力)比率を引き下げる方向にあるなか、今回多額の評価損を出した中堅生損保は合併の対象となっていくだろう。生・損保からの断続的な売りは続くのではないか」と指摘していた。
明治生命と安田生命の昨年9月中間期末における支払余力「ソルベンシー・マージン比率」は、それぞれ504%、576%と、早期是正措置の発動基準となる200%を大きく上回る。生保業界内では相対的に高い経営体力を維持する両社による今回の合併劇だが、投資家の間では「余力のある同士だけに、一段と余分な部分を絞ってくる可能性がある」(水戸証券・阿部進投資情報部長)と言い、株式市場への売り圧力を警戒感する声は強い。