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【ベルリン23日=関厚夫】
欧州経済の牽引(けんいん)役であるドイツで、単一通貨ユーロ導入にともなうインフレ懸念が本格化している。一月のインフレ率(物価上昇率)は「危険水域」といわれる2%を超え、3%台への突入も見込まれているが、その主因がユーロ導入にともなう「便乗値上げ」。なかには50%もの悪質な値上げも指摘されており、消費者団体は「業種を問わず、ユーロ導入前後に便乗値上げがあった」と批判している。
独経済学界の重鎮であるベルト・リュルップ教授は二十三日、一部の独主要紙に対し、一月のインフレ率が前年同月比3%を超える、との見方を示した。同教授はその理由として(1)ユーロ導入による(便乗)値上げ(2)環境税やたばこ税の増税(3)季節的に品薄な野菜や果物の値上がり−などを挙げており、ユーロ導入関連の値上げ分だけで、インフレ率が1%上積みされた計算になるとしている。
一方、独国内の民間経済研究所の試算では、一月のインフレ率は前月(二〇〇一年十二月)比1・8%で、ここでもユーロ導入による値上げが主要な役割を果たしていることが指摘された。
独消費者センター連合(本部・ベルリン)によると、今月に入り、レストランやクナイペ(ドイツ風居酒屋)などのサービス業での便乗値上げが目立つ。ユーロとマルクの交換比率は一対一・九六だが、この比率を適用せず、便乗値上げを行った店舗や業者は全体の三分の一にのぼり、「悪質」な店では約50%もの値上げ幅があった。
同連合のモーン報道官は「統計上は、サービス業とは関係のない一般商品の小売価格はユーロ導入後、全体的に若干の値下げがみられた」という。
しかし、これは昨年後半にすでに便乗値上げの前倒しを行っていたからで、「結局、ユーロ導入を利用して値上げを行ったことに変わりない」としている。
ユーロ導入にともなって、これまでもたびたび指摘されてきた便乗値上げによってインフレ懸念がいよいよ現実的な問題となってきた格好だが、アイヘル独財務相は「中・長期的にみればユーロ導入は物価を下げる働きを果たすはずだ」と主張している。