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まず、景気なんか回復させる必要がないという考え方の持ち主であることを念頭に置いて読んで欲しい。
『首相:3月金融危機「断じて阻止」−「景気、すぐ回復しないが忍耐」 東京 1月17日(ブルームバーグ)』 http://www.asyura.com/sora/hasann6/msg/2.html 参照。
>景気動向については、「今年はすぐ景気が回復する状況ではないが、
>それに耐えていかなければならない」と言明。
>そのうえで、「『いまは改革を少しおいて景気対策をしろ』という方もいるが、
>この改革の痛みを何としても乗り越えなければならない」と力説、
>構造改革路線を貫く姿勢を示した。
「小泉改革」=サッチャリズム(“金持ち”の利益のために、民営化・規制緩和・税制フラット化を目指すもの)は、ある期間を経過したら効果が現れて景気が回復するというものではなく、危機的状況にある経済の足をさらに引っ張るものである。
端的に言えば、需要に対して供給過剰状態にある現実で民営化や規制緩和を行っても、“供給過剰”をさらに深めるものである。
サッチャーの推し進めた税制フラット化は、原理論的に言えば、「国民は等しく同じ金額の税金を支払うべき」(人頭税)というものである。
それに近いかたちを大ざっぱに説明すると、所得税については極端に低所得な人を除き多くの人が均一の税率で支払う(だからそれほど高い税率は採用できない)、それで足りない金額は付加価値税で補うというものである。そして、企業にはできるだけ税金をかけないようにする。
サッチャーは、人頭税(“理念的”自由主義者や“本来的”平等主義者にとっては理想の税制)まで導入し、それが退陣の引き金なった。
このような税制改革は、“需要不足”を著しく深化させるものである。
需要が回復するセクターは、これまで以上の可処分所得を得る金持ちがその運用先として考える可能性がある「証券(株式)市場」と「不動産市場」だけである。
こんないびつな経済構造が半年でも続くわけがない。実体経済の不調は、否応なく証券市場や不動産市場の下落につながることになる。
銀行が抱える「不良債権」の処理も、経済活動の活発化にはつながらない。
それにより倒産させられる企業のある割合で供給が減少するかも知れないが、倒産によって生じる失業者の増大により、需要も減少する。
「不良債権処理」のために公的資金を投入すれば、いくら15兆円“用意”しているといっても、その分国債を発行しなければならないことになる。(「国債問題」については後述)
大型企業の倒産が日本社会全体にもたらす不安感は、倒産企業による供給減少効果よりも大きな需要減少につながるはずだ。
「小泉改革」は、供給面でさらに過剰を増大させ、需要面でさらに不足を拡大するというものである。そして、それは、時間の進行とともに相互作用でさらに激しくなっていく。
英国がサッチャリズムで恩恵を受けたのは「国際金融の世界」だけである。
“困った”ことに日本の商業銀行は、国際金融の世界で戦って儲けられる体力もなければ知性もないのである。
英国から国際金融セクターを取り除いたものが、「小泉改革」を経た日本の姿であろう。
>「『改革をしないで公共事業や景気対策をやれ』というのは今までと同じやり方だ。
>これで景気が回復したら改革をしなくてよくなってしまう。それができないから小泉
>内閣は改革に取り組んでいるわけだ」
国債を大量に発行して景気対策を行うというのも愚策である。
666兆円もの国家債務を抱えている状況で国債を大量に発行し続けていけば、債務が返済できないと言うことはない(日銀券は単なるペーパーにすぎないから)が、日銀が直接政府から国債を大量に買うか、銀行を含む民間投資家が大量に国債を購入してくれなければならないことになる。
国債を日銀が直接購入するということは、ただでさえ紙切れでしかない「日銀券」を経済活動の裏付けさえない状態で発行し、政府が財政支出として民間部門に支払うことを意味する。
これは、そのままインフレにつながることである。インフレになれば、さらに「日銀券」を大量に発行しなければならないことになるという悪循環である。
これは、“石油ショック”時とは比較にならないインフレの出現であり、第一次世界大戦後のドイツを考えた方が早いかも知れない。
デフレだから不況なんだ、だからある程度のインフレをと言っているインフレとはまったく違うものである。
今でも、日銀は、商業銀行に大量の「日銀券」を0%に近い金利で無理矢理“借り入れ”させ、国債を買うように仕向けている。そして、「日銀券」が不足している商業銀行に対しては、保有国債を一時的に“買う”かたちで「日銀券」を融通している。
こういう、日銀と商業銀行の間という“閉塞空間”をお金が移動しているだけから、インフレが起きていないだけである。そして、それ故に、日本の経済活動も活発にならないどころか、より疲弊してきたのである。
「土地本位制的感覚」と「証券市場の永遠なる上昇侵信仰」に支えられていた“バブル”時は、一般物価の上昇は起こらず、地価や株価だけが制御不能なほど上昇してしまい、“墜落する”ハメになったのである。
一般物価がそれほど上がらなかったのは、企業や金持ちにだけお金が回り、一般勤労者にお金が回ることがなかったからである。株式や不動産という資産市場だけがインフレになり、生活物資などの市場はインフレが抑えられた。高級レストランやブランドショップなど、金持ち御用達の市場はそれなりにインフレになった(笑)
バブル時は、日銀→商業銀行→企業及び金持ち→株式市場及び不動産市場を通じて、お金が利子や儲けを伴いながらしばらくは貫流してくれたわけである。そして、バブルが崩壊した理由も簡単なものである。株価も不動産も、同じ立場にあるプレイヤー間を行き来することによって上昇したものでしかなかったからである。
金持ちのAさんがBさんに、「日本株」を100円で売り、Bさんは次にCさんに150円で売り、CさんはDさんに200円で売った。しかし、Dさんが「日本株」を250円で売ろうとしたら、買い手がいない。Aさんも、Bさんも、Cさんも、もっと儲けようと「日本株」ではないが他の株式を買っていたが、それにも買い手がつかない。
みんなは焦って、損が少ないうちに売れる値段で売ってしまえという行動に出た。このようなことが、不動産市場でも起こったわけである。
不動産市場はともかく、株式市場に関しては、そのような結末を意識的に導いた勢力がいたと考えられる。企業や金持ちは、貪欲だから(そしてリスク分散も考え)、株にも不動産にも手を出していただろう。そうであるならな、株式市場を崩壊させれば、不動産市場も崩壊することになる。
このような「陰謀」的策動については、昨日アップした、『「エンロン破綻」は“経済破壊=金融マフィアぼろ儲け”作戦の予行演習 <エンロンは今なお優良企業でSEC(米証券取引委員会)も共犯>』 http]//www.asyura.com/sora/hasan5/msg/1082.html を参照してください。
小泉首相の言う30兆円でもとんでもない額の“新規”国債発行である。
2003年度には、このままいっても、借換分の国債発行と合わせれば、国債発行が100兆円に達する可能性があると言われている。
商業銀行を含む民間投資家が、他に魅力的な投資先を見つければ、国債を買わなくなる可能性が高い。そうなれば、国債の魅力を高めるための最大の手段である金利を引き上げざるを得ない。もちろん、媚びを売ってわざわざ金利を引き上げなくても、国債の入札段階で強制的に引き上げられることになるのだが。
このような状況は、それが現実となる前のその臭いをかぎつけた段階で、既発国債の価格下落(国債利回りの上昇)を招く。それは、さらなる価格下落を引き起こすとともに、新規発行国債の入札時利率の上昇につながっていく。
そして、このような動きは、80兆円とも90兆円とも言われている商業銀行保有の国債価値を下落させてしまう。
ただでさえ不良債権を抱えている銀行が、「日本国債」というとんでもない“不良債権”をさらに抱えることになるのである。それは、現状の銀行にとって、即、破綻を意味することである。とんでもない経済的大混乱が発生するのである。
そうなったときに、小泉?政権が、ペイオフを適用出来れば“立派”である。
しかし、1000万円超の定期預金(2003年4月以降は普通預金なども)を持っているのは、それなりの金持ちだけである。
そういった人たちからの非難を避けるため、結局は全額保護することになるだろう。
そして、商業銀行が破綻している状況で残されている救済方法は、日銀による「日本国債」の直接買い入れしかないのである。
それは、前述した「制御不能のインフレ」に突入していくことを意味する。
「小泉改革」も「財政刺激策」も、現実の日本経済的に対しては、“毒”になるだけで“薬”にはならないのである。
この二つしか論議されていない日本の政治状況は悲劇的である。
最後に、経済の壊滅的な破壊を通じてボロ儲けを実現する人たちがいることをくれぐれも忘れないようお願いしたい。