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17日の東京株式市場の平均株価は、一時、前日終値比103円13銭安の1万74円45銭と、1万円割れ寸前まで値を下げた。今年中に一気に「8000円台への下落」を予測する専門家もいる。東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も一時、終値ベースのバブル崩壊後最安値を下回った。
ダイエー問題は決着に向かうが、体力の低下した銀行の経営基盤には不透明感が残る。企業の3月決算や4月のペイオフ解禁を前に、市場は「金融危機の再燃」に重大な警告を発している。
「非常に心配している。各方面と急いで対策を検討したい」。17日午前、塩川正十郎財務相は、ここ数日の株価低迷について懸念を表明した。
前日の米国株式市場の急落を受けて始まった17日の東京市場は、取引開始直後は小幅高で始まったものの、買い手の勢いは続かず、マイナスに転落した。
平均株価は昨年10月4日以来、終値ベースで1万円台を保っているが、市場関係者は「昨年末から年金など公的資金が必死に買い支えているに過ぎない」と“張り子の虎”の状態だと指摘、再度の大台割れは目前に迫った。
取引の半数を占める外国人投資家も、円安により目減りした円資産を引き揚げる傾向にあり、国内の機関投資家も「サラリーマンのファンドマネジャーは、リスクマネーに手を出せない」(同)という買い手不在の状態で、“カンフル剤”の公的資金の買いが途絶えると値を下げる、というジリ貧傾向が続いている。
個別銘柄を見ても、NECやソニー、日立など電機株が軟調続き。NTT株も一時のブームは見るかげもなく、財政難の政府が追加売却の方針を固めていることが追い打ちをかけて40万円台を挟む水準で低迷している。
デフレの勝ち組だったはずの「ユニクロ」のファーストリテイリングも、大幅な減収減益見通しで連日のストップ安を含む大幅下落と、日本を代表するメジャー企業が総崩れ状態だ。
さらに、深刻なのがTOPIXの急落。17日も前日に続いて平成10年秋のバブル後最安値水準(980.11)を下回る局面があった。
3年前のこの時期と現状は共通点が多い。
米国株が急落し、10年8月には円安が一時147円台まで進行していた。そして、同年秋以降、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の破たんが続き、国有化された。
問題の銀行株は、17日は大引けにかけてやや買い戻しが入ったものの、「金融危機の解消にはほど遠い」のが実情だ。
昨年来の株安により、不良債権処理や株式配当の原資が底をつき、政府が公的資金を注入する際に発行した優先株の配当ができなければ実質国有化されてしまうため、法定準備金の取り崩しを迫られるなど、「米びつの底が見える」状態が続いている。
そこで、過剰債務企業の処理のモデルケースとして注目されていたのがダイエーだった。
結局、法的整理や債権放棄という手法を取らず、デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)や優先株の減資、そして産業再生法適用による政府系金融機関の日本政策投資銀行からの融資などで切り抜けるという方策でまとまりつつあるのだが…。
「結局は問題の先送りに過ぎない。さらに銀行は大株主となって経営リスクを背負うことになり、将来の負担が拡大することも予想される。債権放棄できなかったということは、それだけ体力が傷んでいることの裏付けともいえる」(金融担当アナリスト)
一難去ってまた一難というわけではないが、過剰債務を抱える企業はダイエーだけではない。株価が額面を大きく割り込んだ企業も山のようにある。また、ペイオフ解禁を前に“勝ち組”の銀行へ預金が流出することも考えられる。
「都市銀行の破たんや同時多発的な企業倒産が発生し、平均株価が8000円台まで転落する恐れも十分にある」(同)。銀行株の下落は、市場がこうしたリスクを見越したものといえるのだ。
警告の声は財界からも上がっている。奥田硯日経連会長は16日、雇用情勢について「完全失業率が一時的に6%以上に上昇することは避けられない」と発言した。
昨年11月に過去最悪となった失業率5.5%(完全失業者約350万人)から一気に、6%、単純計算で約380万人もの完全失業者が出るのを覚悟しているというのだ。
奥田会長は「いつデフレスパイラルに転落してもおかしくない」とし、政府・日銀に対し「これまでの枠組みにとらわれず、思い切った政策でデフレを断固阻止してほしい」と強調する。
円安も進み、長期金利も1.4%台とジリジリと上昇(債券価格は下落)、トリプル安の様相を呈する日本経済。柳沢伯夫金融担当相は「金融危機は起こらない」と自信を見せるが、公的資金の再注入論議も依然くすぶっており、事態は予断を許さない。