★阿修羅♪ 国家破産6 ★阿修羅♪ |
昨年9月にマイカルが倒産した時も、また青木建設が法的整理に追い込まれた時も、
小泉首相は「構造改革がすすんでいる証拠」とコメントしましたが、それは違う。
私は小泉政権の構造改革の思想にはいささかも異論はありませんが、
これら2社の倒産は構造改革でもなんでもない。
株の暴落と銀行の思惑だけで倒産したにすぎません。
いってみれば政府がまったく預かり知らぬところで、
過剰債務企業が無秩序にバタバタ倒れ始めたというだけです。
構造改革というなら、銀行の不良債権処理は産業再生と一体でなければなりません。
銀行に不良債権処理を強制する一方で、
建設、不動産、流通といった問題業界を合併等で強制的に再編制していくのが政府の役割です。
産業再生の思想のない不良債権処理は社会の混乱を助長するだけなのです。
ダイエーをめぐる混乱は限度を越えていました。
長崎屋、マイカルの連続倒産によって
スーパーに商品を納入している業者たちの不信感はピークに達しています。
ダイエーに衣料品を納入しているある大手企業などは、売り場に黒いビニール袋を隠し持ち、
いざ倒産というときには、商品をそのビニール袋に詰め込んでいっせいに引き上げる準備をしています。
マイカルが先日8割引セールをやりましたが、この衣料品業者は怒り心頭の様子でこう語ったそうです。
「ただ同然で売っている品物はうちのものだ。
代金も商品とりっぱぐれ、あげくのはてに8割引セール。詐欺ですよ」
またある食品関係の納入業者はダイエーが倒産した時にどれだけの損失がでるか、
毎日、計算しているといいます。
記者会見で読み上げるコメントもすでに書きあがっており、
あとはダイエーが倒産した日の損失額をそこに書き入れればいいようになっていると話していました。
これはダイエーの経営がそれほど悪いというよりも、
長崎屋、そごう、マイカルと続いた無秩序な連続倒産が納入業者を震え上がらせた結果なのです。
長い目で見れば、2兆3000億円の有利子負債を
1兆円程度に圧縮できるだけの資産をダイエーはもっています。
時間的な猶予さえ与えてやれば、納入業者におびただしい血を流させずにすむのですから、
ダイエーを支えることの意義はきわめて大きいのです。
ダイエーはつぶしてはなりません。
さらにいえば、納入業者に広がる不安の連鎖を断ち切るためにも、
主力銀行が債務の株式化によってダイエーを支えていくという方向感はきわめて正しいと思います。
ただし、ここまでダイエーを追い込んだ中内功氏に対する責任追及は厳しく行われてしかるべきです。
それは中内氏が経営判断を間違えたからでありません。
自力再建を目差して本格的な構造改革に着手した鳥羽社長時代、改革の足を引っ張りつづけた責任です。
それはもう万死に値する。
気の毒だし、失礼せんばんな表現ですが、中内さんの責任はそれほど重いのです。
主力銀行団が旧経営陣の責任追及を口にするのは当然のことでしょう。