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「4200億円の金融支援を柱とするダイエーの経営再建策が策定されるにあたって、官邸−もっとストレートな表現をすれば小泉純一郎首相が一定の関与をしたとか、影響力を行使した、という指摘、報道が見られるが、それは100%誤りだ。今回の1件に関して、官邸は全く関知していない」
小泉首相側近の一人がこう断言してみせる。
とはいえ、「−首相官邸は年末にかけて『ダイエーはつぶすには大きすぎる』との姿勢を固めた−」(1月19日付朝日新聞朝刊)という報道に代表されるように、ダイエーの再建策の策定にあたって、“官邸”がストレートな形で一定の役割を果たした、とする報道が相次いでいることも事実だ。
またダイエーの経営再建策が発表された1月18日、小泉首相は日本記者クラブで開かれた記者会見に臨み、以下のような発言すらしている。
「ダイエーの破綻は小さな影響ではすまない、金融不安は起こさない、無用な混乱を起こさないという観点から、政府としてできるだけの措置を講じたい」
さらには、
「小泉内閣の意欲を感じたからこそ、ダイエーを倒産させてはならないという手当てが進んだのではないだろうか」
とも発言し、受け取りようによっては、“官邸による一定の関与”をうかがわせるような首相発言があったことも事実だ。
しかし前述した“首相側近”のコメントを信頼するならば、ダイエーおよび主取引銀行団が再建策を取りまとめるにあたって官邸は全くノータッチ、ということになる。
そうはいっても、昨年末から年明けにかけて、『ダイエーはつぶすな、というのが官邸の意向』という情報が相当な信ぴょう性をもって関係者の間に流布していたことも事実だ。この情報の発信源がある有力マスコミだっただけに、“官邸の影”を感じた関係者が多かったコトも間違いない。
果たして、官邸の関与はあったのか、なかったのか。
そのことを推し量る上で、非常に興味深いエピソードを筆者は入手した。以下でそれを紹介する。
昨年末、12月25日午後3時のことだ。
日本経済新聞社の鶴田卓彦社長が、年末のあいさつを理由に小泉首相のもとを訪れていた。その際に2人の間で以下のようなやりとりがあったという。
鶴田「総理、ここ最近の心配事は何ですか」
小泉「テロ、アジア問題、それに景気問題、失業者…心配事は山ほどありますよ」
鶴田「ダイエーについてはいかがですか」
小泉「それについても心配ですね…」
このちょっとした“やりとり”が、なぜか「小泉首相が、ダイエー問題について重大な懸念を持っている−」というように形を変えて、驚くべきことにその日のうちに、中内功前ダイエー会長の耳に入っているのだ。
「中内前会長はそのことをすぐさま、高木邦夫ダイエー社長に伝えているのです」(関係者)
驚いた高木社長は、すぐさま旧知の財務省幹部に連絡を取り事実関係の確認に動いたのである。
この“伝言ゲーム”の中身はこの時点で、「小泉首相はダイエー倒産の回避を指示、そのことを受けてダイエーの主取引銀行4行(当時)が合計で4000億円の債権放棄を決めた」というものに“進化”していたのである。
このことを聞いてあわてた財務省サイドは、官邸に事実関係を確認する連絡を入れている。これが12月26日のことだった。
財務省関係者が言う。
「官邸からの返事は、『小泉首相にも直接確認を取ったが、そうした内容のことを日経社長に言った覚えは一切ない、ということでした』というものだったのです」
もっとも、この“伝言ゲーム”はその後一人歩きを始め、各方面にハレーションをもたらすことになったのである。