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1・19のメディアは、ダイエーが再建のための「新3カ年計画」を発表し、主力取引銀行3行に支援を求め、政府には産業再生法の適用を求めること考慮していると報じた。
「日経新聞」1・19朝刊によると、この計画の概略は、
● カード事業を除く1兆7千5百億円の債務を2005年2月末までに1兆円未満にする
(注)カード事業には、9千億円程度の債務があるようなので、2兆円未満ということになる。なんとか債務を少なく見せようとする姑息な手法だね。
● 主力取引銀行3行にダイエー向け債務の株式化と一部放棄を含めて4千2百億円の支援を要請
(注)体力的に4千5百億円が債権放棄の限界だということだ。
● ダイエー普通株の50%減資
● ダイエー役員及び従業員の報酬・給与の引き下げ/中内功氏の退職金20億円の辞退
● 産業再生法の適用を受けることを目指す
というものである。
この間の報道内容から、小泉政権が、これまでのそごう・マイカルとは違うかたちでダイエー問題を処理したいと考えていることは間違いないだろう。
しかし、それをもって、小泉政権が、不良債権処理に対する考え方と変えたと見ることはできない。
端的に言えば、法定準備金まで取り崩している主力3行の財務状況から、従来の処理方法では、公的資金を投入してそれらの銀行を国有化するしかないところまできていると判断した結果の見かけ的な政策変更だ。
ダイエーを現時点で破綻させることができないという話だけである。
非常に雑ぱくな言い方をすると、そごうやマイカルのような破綻という処理方法との違いは、「公的資金の投入先が銀行ではなく債務企業になる」・「銀行が不良債権の最終処理をしなくてもいい」・「株式が紙屑同然にはならない」というものである
会社更生法であれ民事再生法であれ、ダイエーが破綻したからといって、ダイエーがなくなるわけではない。
その場合でも、おそらく、今回報道されているような、「50店舗閉鎖・6千人削減」といった再建策から始まることになると思う。納入企業の安心度は少し違うかも知れないが、現金取引を強く主張できる破綻企業のほうがいいと思う企業が多いかも知れないから、ほぼイーブンだろう。
違うのは、
★ 対ダイエー債権を保有する銀行がダイエーの債権を最終的に処理する必要はない。
政府のお墨付きだから、銀行は、消却する必要も、引当金を積み増す必要もないよ。
★ 今後のために、主力3銀行の体力範囲で債権放棄に相当する支援は行いなさい。
ずるずると悪くないのはわかっているから、出来る範囲で準備、準備ってことだ。
★ 株主資本の50%減資で、株主責任も問うかたちにして世間の納得を得る。
しかし、実質は、2株が1株になるだけだから、今後復配されたとき(あるのかな?)は損するけれど議決権には影響ない。減資分は、作業再生法による公的資金の投入?で優先株を買うことで補うようである。
主力3行がダイエー株を保有しているとしたら、破綻であれば紙屑同然になるのを避けることができる。また、ダイエー株を保有している企業や個人も助かる。
というものである。
そして、銀行の体力回復に応じて、今回のような債権放棄を少しずつ進めていくつもりだろう。
現在報道されているものが最終的な処理策になるかどうかは不明だが、仮にその策を採るとしたら、それは、小泉政権に対する壮大でまっとうな「世論調査」になると考えている。
すなわち、そごうに対する救済話がちらほら出たときに、それにふざけるなと反発してそごうでの買い物を消費者が控えた現象が、地域的にも広く店舗数もずっと多いダイエーの各店舗で起こる可能性が高いということである。
小泉政権はいい処理策を考えついたと考えているかも知れないが、国民にダイエーでの買い物を強要することは出来ないという肝心なことを忘れているのかも知れない。
大丈夫、ダイエーの処理策は、国民負担(税金活用)による救済策とは悟られないように説明しているからと思っていたら、それこそ命取りである。
4月からペイオフを解禁するそうだが、3月末まではそのようなごまかしがなまじ通用して、4月になってから「ダイエー救済の実態」が国民に浸透していったらどうなるだろう。
“ダイエーに対する不買運動”がじわじわと広がる。現在以上の売り上げ不振であり利益減少である。
それが進み、否応なくダイエーを破綻させなければならないといった報道が流れればどうなるか。危険を察知した主力3銀行からの定期性預金を中心とした流出が起こる。
小泉政権の命取りになる「銀行取り付け騒動」が起こる可能性も高い。
それが勢いを増せば、主力3銀行のほうが、ダイエーよりも先に国有化されざるを得ない状況になるだろう。
国民を自由自在に操れると思っていたら、選挙でも暴動でもなく、お金の使い方というごく日常の行為で手痛いしっぺ返しに会うことになるだろう。
今日の株式市場で起こった30%ものダイエー株価下落が、このような先行き見通しから起きたものかどうかわからないが、売りを仕掛けている人は賢明な人かインサイダーだと思う。
別に小泉政権を助ける義理なんかないのだが、自分たちの思慮不足を認識し、退陣を決意する契機にでもなればと思って書き込んだ。
現在報道されている「ダイエー処理策」は観測気球でしかないと思っているが、残された時間はあまりないので老婆心ながら...。