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主力三銀行の四千二百億円の金融支援と資産売却を柱とする「新三カ年計画」を十八日、正式に発表した大手スーパー・ダイエー。創業者の中内元会長が進めた「拡大路線」と決別、本業に専念できる体制が整った。だが、計画を達成しても残る借金はなお一兆円。本業の利益で返していくことになるが、景気低迷でスーパー業界は苦戦続きで、同社のイメージ低下による消費者離れも招きかねない。ダイエー再建はなお波乱含みだ。
(経済部・古川雅和)
同日夕、都内のホテルで開かれた記者会見には三百人を超す報道陣が殺到した。高木邦夫社長は「ありがとうと言われるダイエーにいたします」と述べ、顧客に喜ばれるスーパーへの再起に自信をみせた。
「ダイエー再建」が象徴する日本の不良債権問題は、米中枢同時テロが発生した昨年秋を契機に世界経済を揺るがしかねない国際問題に発展。ダイエーに一兆六千億円も貸し込んで“運命共同体”となっている主力銀行は「社会が再建のスピードアップを求めている」(主力行幹部)とぎりぎりの判断を迫られ、金融支援が急浮上することになった。
「赤字店閉鎖」すら店舗の家主などへの違約金負担が重く、踏み切れないでいたダイエーにとって金融支援は「中内路線」と決別するまたとない機会となった。一代でダイエーを巨大企業に育てた中内氏の成功のあかしでもあるプロ野球「福岡ダイエーホークス」など「福岡三点セット」も、本業に利用価値がないホテルとドーム球場を一気に売却し、広告塔の「ホークス」を残すのみとなった。
ただ、赤字の店は減らせても「借金を返す資金が増えたわけではない」(情報調査会社)のが現実だ。残る有利子負債はイトーヨーカ堂の二千六百四十四億円(二〇〇一年八月末)、イオン(旧ジャスコ)の五千九十八億円(同)と比べ巨額のまま。両社や各地の地元スーパーと戦いながら、売り上げを伸ばし借金を返す茨(いばら)の道が続く。
■悪印象払しょくカギ
昨年一月、社長に高木氏が就任してから本業は確かに上向きだ。「何でもあるが、欲しいものがない店」から、消費者が欲しがっている商品を衣料品や生活雑貨など分野ごとにそろえる店舗への転換は、結果を出し始めている。
例えば、一年で最大の商機となる歳末商戦も昨年十二月は客数が増加した。売上高こそ前年同月比1%減だが、相次ぐ店舗閉鎖で売り場面積は減少しているため、実質的な利益は伸びている。三百近い店舗を移り気な消費者ニーズに合わせて改装することは財務面では大きな負担につながる。
さらに、小売業にとって大切な企業イメージは傷だらけだ。
「ダイエー」という社名を隠して自社ブランドの衣料品などを販売する「銀座佰日店(ひゃっかてん)」。昨年十一月のオープン以来、ダイエーの名がないことで、逆に計画以上に売り上げが伸びるという皮肉な結果になった。
ダイエーの場合、中心的な客層は主婦だ。金融支援で生き延びた同社の商品価格や社員の接客ぶりに向ける目はさらに厳しくなる。計画に盛り込まれた「普通株の減資」も、約七万の株主のうち約六万九千人が客でもある個人株主にしわ寄せがいくだけに、悪影響は避けられない。
準大手証券の流通担当アナリストは「ダイエーは金融支援という緊急手術で一命を取り留めているだけ。まだ入院中の重症患者」と例え、本業の立て直しには、なお時間がかかると分析した。