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筆者:中国社会科学院世界経済政治研究所・余永定所長
大幅な円安は、悪化の一途をたどる日本経済と関係があるのは事実だが、日本政府の意図的な政策も大きな一因となっている。
日本政府による円安誘導の動きは極めて明確である。まず円安による輸出増加の可能性が指摘できる。さらに輸入品のコスト増加により国内の物価を上昇させ、それによるデフレ解消を目的としている。
しかし表向きは、日本政府はこれまで再三にわたって「円安は市場によりもたらされたものであり、日本政府はいかなる選択能力もない」としてきた。日本政府のこのような態度に説得力はない。日本政府は昨年、何度も市場介入を行なって円の値上がりを抑制したという否定できない事実があるのだ。
2001年9月11日の米国同時多発テロ発生から2週間で、日本銀行は3兆1千億円を拠出し、当時1ドル115円だった対ドルレートをテロ発生前の120円台にまで引き戻している。この介入に際し、日本銀行はマーケットに対して「日本政府は対ドルレートを120円台にまで上昇させることはない」と伝えていた。
昨年12月日本円が急落した際、日本銀行や政府が「日本政府は対ドルレートが130円以上になることを望まない」という声明を出していたなら、日本円は値を戻していたと思われる。しかし実際は、日本政府からはこうした声明が発表されなかっただけでなく、「円安は日本の経済状況を反映したもの。円のレベルは正常だ」というコメントが出された。こうした言動は、日本円のさらなる値下がりの要因となった。
円安は日本経済を刺激できないだけでなく、さらなる経済衰退を招き、ひいては世界経済の回復を遅らせる結果になるだろう。日本政府はさらに熟慮して、適切な政策を取るべきだ。