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自民党の加藤紘一元幹事長の「金庫番」を務めてきた秘書、佐藤三郎氏が十日、脱税の疑いで東京国税局の強制調査(査察)を受けたことは、一昨年の「加藤の乱」で受けたダメージを取り払い、「改革派」の立場を強く打ち出すことで「ポスト小泉」の有力候補として復権を図ろうとした矢先の加藤氏にとって、大きな打撃となりそうだ。一方、野党は捜査の展開を見極めた上、二十一日召集の通常国会で佐藤氏の参考人質疑か、証人喚問を要求することも検討している。
加藤氏は「加藤事務所と無関係」と秘書個人の問題と強調しているが、加藤派事務所に隣接する加藤氏の個人事務所も査察の対象となったことから、「加藤氏に『改革派』とはほど遠い、不明朗な印象が残った」(森派中堅)ことは否めない。
加藤氏は十日、都内の自宅に終日引きこもったが、同日昼には加藤派事務所に、川崎二郎元運輸相、原田昇左右政治改革本部長、園田博之元官房副長官ら幹部が集まり、意見交換。同派内には「事情は分からないが、加藤氏にはマイナスだ」と、加藤派の今後へ危惧(きぐ)の声も出て、動揺が広がっている。
一方、佐藤氏には北朝鮮との関係や金銭にまつわるうわさが幾度も流れた。
そのため加藤氏は、かつては「魂の触れ合う仲」だった野中広務元幹事長らから何度も、「首相を目指すなら佐藤氏を切るべきだ」と進言されていたが、加藤氏は「佐藤は政治的パートナーだ」として耳を傾けなかったという。
一方、小泉純一郎首相、山崎拓幹事長との「YKK」の盟友関係なども微妙になりそうだ。
「加藤の乱」で加藤氏とたもとを分かった堀内派幹部は「加藤氏の影響力はそれほどでもない」とするが、昨年八月の首相の靖国神社参拝問題では、山崎氏が加藤氏にアドバイスを求め、首相も最終的に参拝日程をずらしたほどだった。
また、加藤氏は民主党の菅直人幹事長とのパイプを持ち、節目で接触してきた。その加藤氏の存在は首相にとって、「自公保連立」を最重視し首相とは距離感がある橋本派などを牽制(けんせい)するには、プラスとなっていた側面もある。
一方の加藤氏には、菅氏や鳩山由紀夫代表ら民主党との連携の可能性をにじませることを、再び「首相ポスト」に近づくための一つの材料としようとしていた節もうかがえた。
しかし、加藤氏側近の不祥事に、「首相も山崎氏も民主党も、これまでのようには加藤氏と連携はできない」(自民党幹部)状況だ。山崎派では「山崎氏が加藤氏抜きで、民主党とどれだけパイプをつなげられるか。事態の推移次第では、首相の政権運営に影響が出る」(幹部)との声も出ている。
また、民主党内では、一時期、菅氏や鳩山氏が加藤氏と連携し、自民党分裂をねらっていたとの見方から、「菅氏らも党内で厳しい状況になるのではないか」(幹部)との指摘もあり、政局への影響も取りざたされ始めている。