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| ★阿修羅♪ 国家破産５ ★阿修羅♪ |
「２、３月危機は起こさせない。危機回避のため、あらゆる手段を講じる」。年末年始の小
泉純一郎首相の発言で、巨額の不良債権にあえぐ日本の金融システムに、逆に緊張感が
高まっている。危機説の背景は何か。仮に危機に直面した場合、焦点の公的資金再投入も
含め、政府はどう事態を乗り切ろうとしているのか。仮想ドキュメントも交え、検証した。 【木
村旬】
＜３月×日午前。小泉首相は自ら議長を務める金融危機対応会議を緊急招集した。大手
のＸ銀行の株価が急落、額面（５０円）を大きく割り込み、動揺した預金者が次々と預金を引
き出すなど、信用不安が一気に広がりかねない事態になったためだ。Ｘ銀行に対する金融
庁の特別検査の結果、大口融資先のＹ社が破たん。市場ではＸ銀行の経営体力に懸念が
高まり、Ｘ銀行株は売り注文の集中砲火を浴びていた。
小泉首相や柳沢伯夫金融担当相、塩川正十郎財務相らをメンバーとする同会議はただち
に事実上の危機宣言を行い、危機回避のためＸ銀行への公的資金投入を決定。速水優日
銀総裁はＸ銀行の流動性確保のため、日銀特融の実施を表明した――＞
ぜい弱な日本の金融システムはここ３、４年、決算期の３月が迫るたびに危機説が流れて
きた。だが、今年は金融庁が不良債権処理を加速させるために実施している特別検査と４
月のペイオフ凍結解除が重なり、従来にない切迫感が漂う。
特別検査で再建不能と判断された企業は法的整理などを迫られ、銀行には処理の負担
がのしかかる。昨年１２月に準大手ゼネコン（総合建設会社）の青木建設が破たんしたのも
特別検査が引き金。金融庁は特別検査の結果を３月期の銀行決算に反映させる方針で、
今後相次ぐとみられる企業整理で体力を一段とすり減らす銀行が、市場から狙い撃ちされる
可能性は否定できない。
さらに、破たん金融機関の預金払戻額を元本１０００万円と利息までしか保証しないペイオ
フが４月に実施される。株価急落などで経営不安が高まり預金が大量に流出すれば、銀行
は一気に追い詰められ、日々の資金も短期金融市場から調達できなくなる。そうなれば、決
済資金の需要が膨らむ年度末に資金繰りに窮する恐れもある。
本来、流動性の問題には日銀の特融で対応するのに、金融庁が公的資金投入の準備を
整えつつあるのは、信用不安の連鎖で金融システム全体が揺らぐ事態を防ぐ必要があるた
め。「金融当局が危機回避に全力を挙げる姿勢を示し、預金者に安心感を与えて動揺を静
める狙い」（金融庁幹部）だ。
「不良債権を処理しても大手行の自己資本比率は１０、１１％で健全性に問題はない」と
公的資金投入に慎重だった柳沢金融相も「金融は信用の問題。客観的事実と市場の見方
に食い違いが生じたら、そのギャップをどう埋めるかだ」と、柔軟に対応する考えも示し始め
た。
◇条件は？
政府が公的資金を投入する根拠となる預金保険法は、投入の条件を「我が国または金融
機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じる恐れのある
場合」と定めている。具体的には、個別行の株価急落など信用不安の広がりで（１）金融機
関の連鎖的破たん（２）金融機関の連鎖的な資金繰り難（３）大規模な貸し出し抑制や資金
回収――という事態になりかねないケースを想定。有力地方銀行も特定地域での影響が大
きいため対象となる。
公的資金の投入方針を決める「金融危機対応会議」のメンバーは首相、財務相、官房長
官、金融担当相、金融庁長官、日銀総裁の６人。政府に認定された銀行が投入を申請し、
金融庁が最終決定する。公的資金枠として預金保険機構に１５兆円の危機対応勘定が設
定されていて、同機構が対象銀行発行の優先株を買い取る形式が基本となる。仮想ドキュ
メントは想定されるシナリオの一つで、複数の銀行に同時投入される可能性も十分ある。
◇これまでは？
大手銀行に最初に公的資金が投入されたのは９８年３月。金融機能安定化法に基づき総
額１兆８０００億円が投入された。９９年３月に金融機能早期健全化法に基づく２回目の投
入が実施され、規模も総額７兆４５００億円に達した。ただ、「資本不足ではない健全行」と
の前提で投入を受けたため、経営責任は問われず、最大の懸案だった不良債権処理も遅
れている。
今後の公的資金投入は０１年４月施行の改正預金保険法に基づいて行われる。資本不
足解消が目的で、トップの引責辞任など経営責任の明確化やリストラなどの収益改善策が
条件。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。