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「ダイエーをめぐる一連の“債権放棄報道”は、何らかの特別な意図を持つ関係者を情報源にしているとしか思えない。今後の展開次第では、ダイエーの主取引銀行団の中で、同社の再建方法をめぐって、内部対立が発生する可能性すらある」
ダイエーの主取引銀行の役員の1人がこう言ってみせる。
昨日付(1月9日付)の毎日新聞朝刊最終版が、1面トップという大きな扱いで“スクープ記事”を掲載した。『債権放棄含め支援 ダイエー再建主力4行検討 総額3000億−4000億円』とタイトルされた記事がそれで、一連のマイカル報道でも他社を圧倒した毎日新聞の流通記者クラブが発信したものだ。
とりあえず以下で記事のサワリの部分を紹介しておくことにする。
「大手スーパー、ダイエーの経営再建について、三和銀行、富士銀行など主力4行は8日、債権放棄などの抜本支援策の検討を始めた。債権放棄を含めた支援規模は3000億−4000億円程度で調整している−」
改めて指摘するまでもないが、ここで言う“主力4行”とは三和、東海、三井住友、富士の都銀4行を指す。
「ダイエーグループが抱える総有利子負債のうち70%強−約1兆6000億円をこの4行が抱えているのです。しかも、この4行それぞれのダイエーに対する与信額は全くのフラット、つまり4行は、与信面で全くの同じ立場にあるのです」(主力4行幹部)
ダイエーグループが抱える有利子負債はこれまでシャカリキになって圧縮を進めてきたものの、今年2月末の段階で、約2兆3000億円という巨額な水準にとどまる予定だ。
「ダイエーの経営再建問題は、この巨額な有利子負債を適正水準にまで圧縮・削減することができるかどうかにかかっているのです。そして“適正水準”とは、ダイエーの収益規模から考えて、ノンバンクのダイエーOMCの借り入れを含めて1兆5000億円弱というレベルだとみています。この“1兆5000億円弱”という水準については、主力4行とダイエー経営陣との間でそうした認識で一致していると言っていいでしょう−」(主取引銀行経営中枢役員)
つまりダイエーは、差し引き約8000億円の有利子負債の圧縮をする−しかも早急に−必要に迫られていることになる。
「そして、そうした有利子負債の圧縮に関しての具体的なプランが見えてこない限り、ダイエーが信用力を回復することは不可能だろう」(前述同)
ダイエーサイドでは、8000億円のうち、約3000億円については向こう5年間かけて営業利益で返済を行い、残る約5000億円については、保有資産の売却によってその圧縮を図る、としている。
「とは言っても、実勢価格−売却価格−が簿価を下回る資産を売却した場合、損失(特別損失)が発生してしまう。ダイエーの自己資本は連結ベースで約530億円にすぎないから、ダイエーは資産売却を進めようにも進められない状況に陥っている。はっきり言ってしまえば、ダイエーは事実上の債務超過状態に陥っているのが実情だ」(前述同)
そして、その債務超過分について、債権放棄もしくは債務を株式に転換する「デッドエクイティ・スワップ」を実施しよう、というプランが一部の銀行から浮上してきたのである。
とは言っても、こうした“手法”を取ることについて、4行間で足並みがそろっているわけではない。むしろ、その意見は真っ向に割れているのが実情だ。
「積極派が三和銀行、東海銀行のUFJグループ勢で、消極派というよりも否定派が三井住友銀行となっています。今後の展開次第では両者がダイエーの再建策めぐって全面対決という事態に陥る可能性もある−」(前述同)
もっとも、UFJグループ内部でもこの問題に関して意思統一が図られていないのが実情で、今後の事態の推移は要注意だ。
2002/1/10