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米メリルリンチの日本法人であるメリルリンチ日本証券は9日、1200人の削減を骨子とする個人営業(リテール)部門の再編策を発表した。これに伴い店舗網の縮小を決定、現在ある28店を8支店へ大幅に店舗を絞り込む。今後メリルリンチのリテール営業は、8支店と新設されるコールセンター中心の営業に軸足を移すことになるが、同社が米国で得意とする「資産管理型営業」は鳴りを潜め、縮小均衡に陥っていくのは確か。1997年の山一証券破綻による店舗引き受けで、初期投資を抑えながら一気に市場のメジャープレーヤーになったメリルリンチだが、欧米流証券ノウハウは日本では通用しないことを浮き彫りにした。
●大幅リストラ
メリルリンチが打ち出したリストラ策は
(1)20支店を3月に閉鎖、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、高松、福岡、熊本の大都市圏の店舗8支店に集約〜現在1700人の社員を1200人削減し、500人体制とする。
(2)新たな営業手法としてファイナンシャル・サービス・センター(FSC)と呼ばれるコールセンターを開設、電話で顧客の資産運用のサポートを実施する―など。
退職者にはキャリア支援プログラム(CAP)を活用し、勤続年数に応じ12カ月から18カ月の給与分を退職金に上乗せする。
●独自の営業手法浸透せず
リストラ策で明確になったのは、今後メリルリンチの日本戦略が大きく変化することだ。ある証券関係者によると「500人体制では激しい戦いが続くリテールで勝ち抜くことは到底できない」とし、「近い将来リテール完全撤退の布石ではないか」(業界関係者)と分析する。リテールで稼げないとすれば完全に営業の軸足はホールセール(企業向け)となり、「総合証券」としての姿は次第に視界から消えていく。
リテールを今後も継続すると仮定した場合でも、同社は大きな戦略変更を行うことになる。それがコールセンターだ。メリルリンチをはじめ、欧米の証券会社が強いとされたのが「資産管理型営業」。対面営業を基本とし、目先の短期売買ではなく長い目でみた資産運用のサポートを行うことを主眼においた手法で、日本の証券会社は危機感を募らせていた。しかし、メリルリンチは今後はこの伝統的な手法から、コールセンターという非対面での営業に注力するとしており、これにより既存の日本の証券会社と差別化できる点は少なくなった。
●冷ややかな国内勢
今回のメリルリンチのリストラ策に対し、日本の証券会社の反応は冷ややかだ。ある大手証券関係者は「すでに撤退がささやかれており、特別驚く内容ではない」としたうえで、「メリルリンチが長い目で資産管理型営業を続ければ、われわれの脅威になったはず」(大手証券)と話す。
証券業界では90年代、同社をはじめ欧米からつぎつぎに市場に参入、1400兆円といわれる個人金融資産の争奪戦に参戦した。しかし株式相場の低迷で、モルガン・スタンレーやドレスナーなど有力証券ではリテールからの撤退を続けている。「外資系特有の腰の軽さ」(市場関係者)といえば一言で終わるが、日本の金融市場を軽視し過ぎたのは確か。国際競争を促すといわれた金融ビックバンだが、皮肉にも「外資総崩れ」という予想外の結末を迎えている。
[市川徹 井原一樹 2002/01/09 18:13]