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「大手銀行16行は、この10年間の累計で約60兆円にものぼる不良債権を処理してきているのです。その意味するところは、過去10年間に銀行セクターから産業界に対して約60兆円にのぼる資金が“贈与”された、ということに他ならないのです」
大手金融グループの経営中枢幹部がこう言ってみせる。
この経営中枢幹部氏が言うように、平成4年度(平成4年4月−5年3月)から13年度(13年4月−14年3月)にかけての10年間に、大手銀行16行は累計で59兆2000億円にものぼる不良債権を処理してきているのが実情だ。
“ビッグ4”を例にとってみると、その累計処理額は以下の通りとなっている。
みずほフィナンシャルグループ(興銀、第一勧銀、富士銀)…14兆700億円
三菱東京フィナンシャル・グループ(東京三菱銀、三菱信託銀、日本信託銀)…8兆9500億円
UFJグループ(三和銀、東海銀、東洋信託銀)…11兆5600億円
三井住友銀行(さくら銀、住友銀)…11兆1700億円
「いわゆる“ビッグ4”だけでも過去10年間のトータルで46兆円にものぼる不良債権を処理してきたのです。平成13年3月末における大手16行の与信(融資等)の総額は約332兆円ですから、イメージとして総与信の約20%弱を不良債権として処理してきたことになります。一口に20%弱と言いますが、これは大変な金額です。これではどんなに経営内容が健全な銀行でもおかしくなってしまいますよ」(前述の経営中枢幹部)
過去十年間における不良債権処理額の推移を検証してみると、極めて興味深い事実が浮かびあがってくる。
4年度以降、各銀行の不良債権処理額は急上昇カーブを描いて増加していくものの、8年度にはその処理額は大きくダウンしてしまう。そして9年度以降再び上昇カーブを描き出すのである。
「つまり4年度から7年度にかけての不良債権処理は、バブル経済の崩壊に伴って発生した不良債権を処理していったものなのです。一方、9年度以降の不良債権処理は、ズバリ言ってしまえば、平成不況−つまりデフレ経済の発生に伴って生じた不良債権を処理したもの、といえるでしょう」(大手都銀役員)
さて、このことは果たして何を意味するのであろうか。
「はっきり言ってしまえば、平成不況が終息しない限り各銀行の不良債権処理額はピークアウトしない、ということに他なりません。各銀行がいくらシャカリキになって不良債権処理を進めようとも、景気が上向きにならない限り、不良債権の発生は押さえ込めないのです。もはや大手銀行の体力も限界に近づきつつあるのが実情です。これ以上平成不況が続くようでは、大手銀行も含めて金融システムそのものが機能不全、それどころかクラッシュしてしまうことになるでしょう」(大手都銀首脳)
銀行業界にとって最大の悲劇は、こうした事態について“政府・与党”が全く理解していないことにある、といえるだろう。
こうした事実関係を正確に検証していくと、“大手30社問題”なるものがいかにナンセンスな問題提起かわかるのではないだろうか。
そうした意味で、金融・経済政策を大きくミスリードした竹中平蔵経済財政担当相、ひいては小泉純一郎総理の罪は極めて重い、と言わざるを得ない。