★阿修羅♪ 国家破産5 ★阿修羅♪ |
最近のGDP統計の改定値から、日本の不況の特異な性格がますます鮮明になった。昨年度の実質成長率は1・7%だったが、名目成長率はマイナス0・3%であり、GDPデフレータ―が2%も下落していたのだ。こうしたデフレ傾向は変わっていないので、今年度の実質成長率がマイナス1%程度になるとすれば、名目成長率はマイナス3%程度に達することになる。これは異常なことである。
戦後、日本を含む先進国において、実質成長率がマイナスになったことは何度もあるが、名目成長率がマイナスになったことはほとんどない。単なる不況ではなく、物価が持続的に下落し、名目GDPが縮小していくという戦後かつてない深刻なデフレに、日本は見舞われているのだ。
その結果、企業の実質債務が増加してバランスシートが悪化するため、金融機関の不良債権も増え続けることになる。実際、ここ数年の大量の不良債権処理にもかかわらず、金融機関の不良債権比率はほとんど低下していない。こうして体力の弱った金融機関は貸し出しを渋るため、それがさらにデフレを深刻化させることになる。
このような状況の下では、財政政策は実質GDPには影響を与えられるとしても物価や名目GDPを引き上げる力はない。基本的には、金融政策にしか、そういう能力はないのである。今こそ、日銀がデフレを退治することに責任をとる旨を明らかにし、そのために必要なあらゆる金融調節手段を動員すべきだ。現在のままでは、来年度もデフレによる名目GDPの縮小が続き、日本経済は深刻な危機に直面することになろう。残された時間は少ないのである。 (知命)
[毎日新聞12月13日] ( 2001-12-13-23:24 )