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信用リスク不安に怯えながら越年した株式市場。年が改まっても不安要素は山積している。ここにきて市場関係者の間からは「年度末にかけ日本株は一段安に見舞われる」(銀行系証券)との声が漏れてくる。信用リスク不安は年度末にかけ更に膨らむ可能性が大なうえに、銀行と事業法人との間で持ち合い解消売りがラスト・スパート局面に入るのは確実。年末に小泉純一郎首相が、銀行への公的資金再投入を示唆する発言を行ったが、果たして政策当局がどの程度の危機感を持って市場と対峙するのか―。投資家は一層慎重な見極めを求められよう。
●本格化する“宿題回収”
年明けの相場でまず注目すべきは金融庁による特別検査だ。同庁は昨秋、大手金融グループに対し、格付けや株価が著しく低下した企業への融資実態を把握する目的で特別検査に着手した。同検査は年内で大手行を一巡する第1ラウンドが終了。年明けからは「金融庁が出した宿題の回収が始まる」(大手銀幹部)。
宿題とは、巨額の有利子負債を抱え、再建が危ぶまれる企業の債務者区分の見直しのことだ。「流通や建設、不動産など市場関係者が誰でも“危ない”とみているところは、暗に区分を引き下げるようにと言われている」(別の大手銀幹部)。各行はこうした企業群への貸倒引当増に動いており、突発的な取引先企業の破たんで自らの財務が痛まない、という“建前”を用意している。ただ、実態は「他行との区分が画一的になれば、予想外の収益悪化リスクが顕在化する」(信託銀筋)。
つまり、問題企業の淘汰が本格化するのが確実視されているうえに、銀行の体力が一段と悪化するリスクも払しょくできていない訳だ。株式市場は、昨年末からこうした動きを先取りしているが、「実際に破たんが相次げば相場の下落圧力にならないはずがない」(銀行系証券幹部)。特別検査の行方、問題企業絡みのニュースから目を離してはならない。
●のしかかる需給悪
例年、1月から2月の中旬にかけては持ち合い解消売りが活発化し、相場の重しになる。今年もこの図式に変わりはない。むしろ重しは増える。時価会計の導入とともに、今年はこれがこの時期ピークに達するのは確実だからだ。
同時に見逃せないのが、この時期には米国の消費がピークアウトし、「米国株が調整色を強める」(別の銀行系証券)ことが濃厚となっている点だ。同時多発テロ以降、米国消費は小刻みな変動をこなしながらも、「なんとか底割れの事態は回避した」(米系証券)。しかし、昨年末のクリスマス商戦に全力投球した企業が多く、販売リベートの減額や自動車のゼロ金利キャンペーンの効果は確実に途切れる。
「米株は一服という段階で済むだろうが、持ち合い解消という需給悪を抱える日本株は深刻な下落局面を迎える可能性も否定できない」(同)といえそうだ。
●正念場の年度末
信用リスク不安、需給悪と日本株を取り巻く環境は過去最悪の状況と言っても過言ではなかろう。ただ「バブル経済後の失われた10年をようやく清算できるチャンス」(米系投資信託幹部)でもある。「政策当局が本腰でウミを出す覚悟があるのであれば、買いに動くチャンス」(別の米系投信)との声も出ている。逆にこの時期、「小手先の問題先送りが行われれば、失われた10年があと15年は続くことを意味する」(先の米系幹部)。この年度末は、株式市場、日本経済にとって真の正念場となることが確実だ。
(相場 英雄)