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オックスフォード大学の余永定教授(社会科学院・世界経済・政治研究所所長)はさきごろ、続落する円相場の影響について次のように語った。
円レートの下落により、低迷を続ける日本経済が回復することはない。 まず日本経済に占める輸出の割合は現在わずか10%、GDPに占める割合も2%に過ぎないということを指摘しなければならない。つまり円下落により輸出が増加しても、日本のGDPに与える影響には限りがあるということだ。日本経済が立ち直るためには、内需拡大が最も重要である。
つぎに日本円の下落による、輸出増加、輸入減少という役割には限りがあるといわなければならない。1998年8月、日本円は1ドル当り147円に下落したが、日本経済は回復しなかった。
また日本円の下落は日本にとって両刃(もろは)の剣(つるぎ)であるといえる。円が下落することにより、日本の金融機関は損失を被(こうむ)り、さらなる不良債権問題に苦しむ可能性が高い。小泉政権は不良債権の処理問題解決、金融機関の仲介機関としての役割の回復を政策の重点と位置づけている。円の下落はプラスよりもマイナス面の方が大きいだろう。
日本の経済問題はマクロ経済管理の問題だけではなく、構造問題でもある。また経済問題のみでなく政治問題でもある。構造改革を進めなければ、どのような経済政策を打ち出しても、日本経済が「失われた10年」という苦しい局面から立ち直ることは不可能である。
円の下落がアジア諸国に与える影響について、円が1ドル140円のレベルを下回れば、東アジア地域の経済的安定は大きな損害を被る。弱い円が中国に与える影響も小さくない。人民元の安定は、中国や東アジア諸国の経済安定に与える役割はきわめて大きい。しかし、中国では管理フロート制度を導入しており、国際収支の状況やその他の要素など人民元をとりまく状況は変化を続けている。アジア金融危機の間、中国政府は人民元レートを維持するためのしっかりとした政策をとって危機を乗り切った。しかしだからといって人民元の対ドルレートがいつまでも変化しないというわけではない。日本円の下落幅が中国の対応能力を超えたと
判断された場合、当然中国政府には適切な選択をする権利がある。
円の下落が中国に及ぼす影響について、中国の対日輸出に与える影響についてはさらに研究を進める必要がある。個人的には、円安より日本経済の衰退は中国企業による対日輸出に与える影響が多いと考えている。中日経済は競争関係より補完性がつよい。
またある時期、日本国内では中国脅威論を唱える人が増えたが、これは日本人の自信喪失によるものである。今後は貿易摩擦を減らすために、中国も自らを批判し、世界貿易機関(WTO)の条例を厳守しなければならない。
現在の状況からみて、日本円の下落が東南アジアに与える影響が、1997年のアジア金融危機を上回る可能性は少ないと思われる。東アジア地域の経済減退の主要な原因は日本円の下落ではなく、米・日・欧といった3大経済地域の景気減退によるものである。
http://j.people.com.cn/2002/01/02/jp20020102_12876.html