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21世紀がスタートした昨年は、デフレ懸念や金融不安が強まり、株価の低迷、失業率の増加、大型倒産の続出と、日本経済を覆う暗雲はとうとう晴れなかった。小泉純一郎首相が取り組む構造改革の行く手に明るい未来はあるのだろうか。今年5月に経団連と日経連が統合して新たに発足する「日本経済団体連合会」の会長に就任する奥田碩(ひろし)日経連会長(トヨタ自動車会長)に今年の景気動向などを聞いた。 【聞き手・重光正則】
――国内経済については今年も悲観的な見方が大勢のようですが。
◆昨年は全般的に低調だったが、今年はそんなに悲観的になることはない。とりわけ、今年後半には米国経済の回復が期待でき、日本の景気もその流れに引きずられ、上向くと見ている。問題は成長率で、おそらく0%近くにしかならず、上下しても上下0・5%の幅で動くのではないだろうか。
――構造改革の「痛み」がジワジワ広がっています。
◆小泉首相は就任時から構造改革には痛みが伴うといってきた。具体的には、サラリーマンにとっては失業であり、中小企業では倒産だろう。大企業の中にも公的整理に追いこまれるところも出てくる。そういう痛みに「こんなはずではなかった」という声も聞こえてくるが、痛みに合意し、政権に高い支持率を与え、小泉人気を盛り上げたといえる。首相は粛々と構造改革を進め、国民は痛みに耐えなければならない。
――失業率がさらに悪化することも?
◆これから春闘の時期を迎えるが、これまでのような賃金問題から離れ、雇用面でいろいろな制度を労使間で話し合う必要がある。一番の柱になるのが、労働を分担し、雇用の確保と促進につなげるワークシェアリングだ。日経連としても促進していく考えで、企業もいろんなワークシェアリングの形態を取ることになるだろう。失業率は5%台で高止まりするかもしれないが、ワークシェアリングによって急激な悪化に歯止めをかけることができると思う。
――日本経済再生の条件は何ですか。
◆この状況で考えると、内需喚起ということになるが、その柱になるものがはっきりしないのが実情だ。個人的には、内需拡大のためには住宅政策が必要で、税制の見直しや、規制緩和などを行えば、大きな効果を持つだろう。
――中国の追い上げも激しい。今後も日本は優位性を保てますか。
◆日本人の能力をいかに評価するかだが、ナノテクノロジー(超微細技術)、バイオといった分野で今後、新しい世界が広がるので、十分日本はやっていける。そのためにも、大学の諸制度の改革、産官学の連携、教育のあり方などを考る必要がある。こうした時代だからこそ、創造力を持つ日本人を育てていかなければならない。
――新経済団体トップとしての抱負を。
◆世界経済全体が沈滞している中で、世界第2の経済大国がフラフラしているわけにはいかない。日本経済を安定させるアンカー役になれるよう努力していきたい。