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このままでは2002年4月のペイオフ解禁で奈落の底に落ちるだけ〜日本経済を崩壊の灰燼の中から蘇らせる「2つの秘策」あり・UCLA教授大前研一(サピオ1/9新年合併号)

投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 31 日 14:29:18:

このままでは2002年4月のペイオフ解禁で奈落の底に落ちるだけ〜日本経済を崩壊の灰燼の中から蘇らせる「2つの秘策」あり・UCLA教授大前研一

アメリカのエネルギー大手企業『エンロン」の破綻ショックで、業種別日経平均株価の銀行株が1984年2月以来の最安値となった(2001年12月3日)。アメリカ同時テロの影響で旅行業界は危機的状況にあり、狂牛病問題も食品業界や外食産業に暗い影を落としている。10月の完全失業率は5・4%に上昇し、過去最悪の記録を更新した。八方塞がりの日本経済は、2002年にいったいどのような局面を迎えるのか?

2002年の予測は非常に簡単だ。良くなる手は何も打っていないから、悪くなるしかない。
日本の最大の問題は、繁栄するための条件を何も理解していないことである。私がこの連載で何度も指摘しているように、世界で成功しているのは、国ではなく地域である。中央政府に縛られない自立した地域には世界中からお金が来て、企業が来て、人が来て、情報が来るという好循環が生まれている。いわゆる「地域国家」である。それ以外に栄えている所はない。いま中国が急速に伸びてきた理由も地方分権だからである。もはや従来の国の単位では、たとえ石油などの地下資源や農業資源に恵まれていても、繁栄はおぼつかないのだ。
となると、繁栄するための方程式は極めてはっきりしている。まず世界経済を取り込むための地域単位を作らなければならない。日本という単位では世界経済を取り込む単位にはなりえない。統治機構が、世界にも例のない江戸時代以降400年にわたる極度な中央集権のままだからである。日本国憲法は第8章で地方自治を謳ってはいるが、実際には地方自治は存在しないのだ。
つまり、日本は統治機構まで含めた抜本的な大改革を行ない、道州制などを導入して中央政府に縛られない自由な裁量権を持った単位(地域)を作らなければならないのだ。もし2002年にそれを断行しなければ、日本は新しいネットワーク社会に対応して21世紀の繁栄を手に入れることはできないだろう。統治機構に手をつけない限り、いくら景気刺激や不良債権の処理や小泉首相の内容なき構造改革をやったところで無駄である。

日本の銀行はすべて国有化しないと生き残れない

おそらくこれから日本の銀行はすべて国有化されると思う。
私が10年前から指摘してきたように、このまま生き残ることができる銀行は、税金を注入して不良債権をチャラにした『新生銀行』(旧長銀)と『あおぞら銀行』(旧日債銀)以外には一つもない。銀行は自己責任をしらばっくれ、すべてのツケを国民に回してやっていこうとしてきたが、ついにそれも限界にきている。
そもそも日本には一つしか銀行がない。貸金庫と化した「国営銀行」だけである。国営されていないけれども、シンジケートで全行が同じことをやっているから、実質的には全行が「国営銀行」だ。だからこの先、1行とか2行だけが生き残ることはない。ひとたび銀行の倒産が始まったら、ドミノ倒しで全部つぶれるのだ。
たとえば『第一勧業銀行』『富士士銀行』『日本興業銀行』が統合して総資産世界一の『みずほフィナンシャルグループ』が誕生した時、私はこの連載でいち早く、これは時代遅れの対艦巨砲主義であり、戦艦「大和」と同じ運命をたどる、と予言した。案の定、同グループは巨額の不良債権処理のため2002年3月期決算が6000億円規模(3行合算)の最終赤字に転落する見込みとなり、3頭取が引責辞任することになった。戦艦「大和」と同様に、外洋へ出た途端に沈没しかけているのである。
あるいは『イトーヨーカ堂』が銀行業に進出して『セブンイレブン』にATMを設置した時も、道端の弁当屋に過ぎないコンビニにATMを置いてもあだ花でしかない、と書いた。こちらも案の定、コンビニのATMは利用者が少なく、全く採算がとれていない。この『アイワイバンク銀行』も、そして『ソニー銀行』も、行く手には真っ黒な暗雲が垂れ込めているのだ。ただし、銀行の壊滅は私がこの10年間言い続けたことだから、何も目新しくない。とくに本誌の読者は、耳にタコができているはずだ。
そこで目新しいことを言うと、日本の銀行がトドメを刺されるのが2OO2年だということである。引導を渡すのは4月のペイオフ(預金などの払い戻し保証を一定額までとする措置)凍結解除だ。
日本は1999年に一度ペイオフを凍結しているわけだが、予定通り4月に解除すれば即、銀行は壊滅するだろう。
もし、それを避けるために再度凍結しても、その時点で地雷を踏んでマーケットが崩壊してしまうだろう。具体的にはどうなるか?二つのシナリオが考えられる。

金融界のポツダム宣言で無条件降伏もありうる

一つはIMF(国贋通貨基金)管理だ。ペイオフを2年も凍結したのにその間に準備できなかったら、日本の当事者は世界中から不信任状を突き付けられると思う。その結果、87年のニュージーランドや93年の北欧のように為替や国債が暴落し、株式・為替市場を閉めるところまでいくだろう。いわば金融界の「ポツダム宣言」であり、日本政府は無条件降伏してIMF進駐軍がやってくるわけだ。場合によっては、92年にイギリスで投機家のジョージ・ソロスによりポンドが暴落したように、地雷の起爆スイッチを、機を見るに敏な投機家たちが押す可能性もある。
もう一つは、石原慎太郎・東京都知事が地雷の起爆スイッチを押すというシナリオだ。
これはどういうことかというと、東京都が持っている兆単位のお金はメインバンクの『富士銀行』をはじめ大半の都市銀行に預金されている。しかし、ペイオフ解除になったら1000万円以上の定期預金残高は守られない。
となれば、石原知事が都のお金を安全なところに移さなければならないと考えるのは当然の成り行きだ。
実際、01年11月9日に日本銀行が発表した預金者別預金調査によると、1000万円以上の定期預金のうち地方自治体などの公金は、9月未の時点で前年比34・2%も残高が減少している。その一方で、03年3月末まで全額保護が続く普通預金を中心とした決済性預金の1000万円以上の残高は14・6%増加している。一般企業の1000万円以上の預金残高も定期預金は16・7%減少し、普通預金は7・7%増加している。
つまり、地方自治体などの公的機関も一般企業も、ペイオフに備え、定期預金から普通預金への移し替えや預金の分散を進めているのだ。これが銀行株が暴落した最大の理由であり、この流れは02年3月末に向けてますます加速するに違いない。なぜなら、いま大口定期預金の金利は1年で0・044%程度、定期預金を解約したところで大した損はしないので、各地方自治体は何の恐れもためらいもなく預金を普通預金に移すに違いないからだ。都銀も地銀も最大の客は地方自治体だから、もし、このまま定期預金から公金や企業のお金が洗出し続けたら、銀行は完全にメルトダウンである。
なぜ、この地雷の起爆スイッチを石原知事が押すのか?彼は都のお金を移す受け皿として都営の「メトロポリタンバンク」を作ると思うからだ。どのみち地方自治体は決済性預金が必要だから、東京都がどこかつぶれそうな銀行を買収して所有する。そうなったら都民はもちろん、国民も他の地方自治体も、こぞって安全な「メトロポリタンバンク」に預金を移すだろうし、世界中からお金が集まってくると思う。
その結果、東京都は『ムーディーズ』や『スタンダード&プアーズ』などの格付け会社からAAAのレーティングをもらい、債券を発行して独自にプロジェクトを進めることができるようになる。石原知事はアレキサンダー大王みたいな人だから、神奈川・千葉・埼玉を併合して「首都圏道」を作るところまでいく可能性もあるのではないか。
まだ小泉首相に期待している向きもあるようだが、それは大間違いだ。英語に「尻尾が犬を振る」という表現がある。本末転倒の意味だが、いまの日本は、まさに尻尾が犬を振っている。
つぶれるべき銀行、つぶれるべきゼネコン、つぶれるべき流通業界が自分たちの生存のために国民全体を振り回しているのだ。そういう“特殊団体”を中心にした政策はもうやめて、大多数の人がより良い生活ができるようにすることを中心的なテーマにすべきなのだ。しかし、小泉首相の改革には、その観点が抜け落ちている。特殊法人を廃止したり民営化したりしても、国民の生活が良くなるわけではない。私に言わせれば、小泉首相は口先だけのペテン師だ。

1400兆円の個人資産を出させる仕組みが必要

日本が崩壊の灰建の中から蘇る方法は二つに絞られる。
一つは、練り返しになるが、統治機構の大改革である。道州連邦制については過去に本誌などで何度も提案しているので、ここで改めて詳しく述べることはしない。
ただ、道州連邦制を否定する向きには反論しておきたい。
たとえば、道州連邦制にすると国家としてのまとまりがなくなるという意見がある。だが、日本はどんなに間違っても分裂することはない。
孫文が、中国人は砂みたいにバラバラだが、日本人は米粒みたいですぐに一つに固まってしまう、と嘆いたほど、まとまりたがる民族なのだ。
また、道州連邦制は天皇制を否定するものだと言う人もいる。しかし、それはフランスのボナパルティズムと共和制の歴史しか知らない学者が問題を混同しているだけである。もともと天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」なのだから、道州連邦制になったところでその地位が変わることはない。
道州連邦制を導入する場合は憲法を改正する必要があると言う人もいる。しかし、前述したように日本国憲法で地方自治は担保されているのだから、憲法通りにいくと現在の中央集権のほうが違憲であり、道州連邦制のほうが合憲なのだ。したがって、憲法を改正する必要はない。
日本が再生するもう一つの方法は、徹底した規制緩和によって個人金融資産1400兆円をマーケットに出動させることである。落ちぶれたとはいえ、まだ日本は世界一の貯蓄大国であり、債権国家である。それを考えると、再生の方法は徹底的な規制緩和しかない。そうすれば、地価だの何だのが暴落するから、それを利用して生活基盤を改善していくビジョンを作るのだ。
私に言わせれば、21世紀の日本には産業政策はどうでもいい。産業政策より緩和により生活改善を進めることで需要が生まれ、個人資産1400兆円がマーケットに出てくるからだ。
たとえば、オーストラリアやカナダなどから安い住宅の輸入を可能にして1000万円以下で住宅の建て替えができるようにすれば、向こう20年は膨大な建て替え需要が出てきて、家具や家電製品もどんどん売れる。あるいは、新たに書斎用の部屋を借りたりパソコンなどの備品を購入した場合に、その費用を全額経費として認めて所得税から還付する「書斎減税」を導入すれば、OA機器や事務用家具などの売れ行きが伸びる。放っておいたら墓場に持っていかれてしまう1400兆円が、良い生活をするための消費に出動して、おのずと景気は良くなるのだ。
そんなことをしていたら日本の将来が不安だという意見もあるかもしれないが、その心配は要らない。もはや輸出入で食べていく時代は終わったからだ。成熟した国は輸出入ではなく、消費で食べていけばいいのである。1400兆円を使っていけば、日本は外国から見ると素晴らしい市場になり、存外の例では必ず利率6〜8%で回る投資機会が出てきて、世界中からお金が集まってくる。それによってさらに需要が出るという好循環が生まれるのだ。
どん底の中でやるべきことは、以上二つだけである。この二つを実行しさえすれば、国が借金をしたとしても国民の生活は良くなるのだ。2002年の日本人は、修羅場の先に線の芝生があると信じて谷底へ落ちていくべきだと思う。このままいくと谷がどんどん深くなるので、いま落ちることをためらったら、いっそう怪我が大きくなる。もちろん個人的に被害を受ける人も出るだろう。しかし、出産と同じで明るい未来という新しい子供は、そう簡単にスルリと生まれてくるものではない。痛いのは当たり前であり、むしろ大きな痛みを伴ったほうが、無事に生まれた時の喜びも大きいのだ。




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