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小泉純一郎首相は、03年4月に発足する「日本郵政公社」の郵便貯金と簡易保険の約360兆円に上る資金運用について、国債売買に一定の歯止めを掛ける方向で検討に入った。首相周辺では四半期ごとに国債の売買計画を公表し、その実行を義務づけることを、来年の通常国会に提出する公社化法案に盛り込む案が浮上している。公社は経営の自主性が認められるが、国債保有残高を大幅に減らせば、国債価格の急落(長期金利の上昇)を招き、財政・金融政策に深刻な影響を与えかねないためだ。
首相の私的懇談会「郵政三事業の在り方について考える懇談会」の田中直毅座長が今月中旬、小泉首相に提言。首相周辺は「どういう方法にするかは法律を作る過程で議論する」としている。
総務省は01年度から、新規資金については毎年度の資金運用計画の公表を始め、国債など運用項目ごとの運用額を示している。02年度は郵貯と簡保で約30兆円が国債の購入に充てられる。しかし、田中氏は「運用全体について、例えば1年という長期ではなく、もっと短い四半期ごとに公表すべきで、経済動向に応じて運用方針を変える場合はその都度、公表すべきだ」と主張。さらに、資金運用計画通りに運用したかどうかを事後的にチェックする制度も導入する考えだ。
国民から預かった郵便貯金や簡易保険の運用総額は360兆円。これまでは郵便貯金が旧大蔵省資金運用部に預けられるなどして財政投融資資金として国債や地方債の購入、特殊法人への貸し付けなどに充てられてきた。今年4月からは段階的に総務省の自主運用に移っているが、国と地方の長期債務666兆円のうち実質的に150兆円を引き受けている実態は変わっていない。
これに対し、郵政公社に移行すれば、より民間的な経営手法が求められ、自立性も高まる。巨額の運用資金を持つ公社が自由に国債を売買することも可能で、金融界には「国債価格は事実上、公社が左右することになる」との懸念も出始めている。
こうした懸念に対し、総務省は「国債価格が急落した場合、巨額の国債を保有する公社自身も損をする」(貯金経営計画課)としており、公社になっても国債保有を急に減らす可能性が低いと主張。首相側が検討している義務化には難色を示している。
しかし、田中氏は「巨額資金を抱えているだけに、少しの資金配分の変化でも市場は混乱する。総務省は影響の大きさを理解しておらず、公社の運用の手を縛る措置が必要だ」と指摘している。
公社化法案作りは、直接的には総務省が担当するため、最終的にどんな内容を盛り込むかは首相側と同省の綱引きが続くことになる。
(10:48)