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●「預金封鎖は1ヵ月も続く」
さて、'02年の4月には、金融界を根底から揺るがすペイオフの解禁も行われる。金融機関が破綻しても、預金が1000万円プラス利息分までしか保護されなくなるこの制度のせいで、すでに預金の大きな移動が起こっている。
“勝ち組”、なかでも東京三菱に預金が集中する一方で、地銀、第二地銀、信用組合、信用金庫など中小金融機関から預金流出が続いているのは本誌が何度も報じた通りだ。
国際経済アナリストの水野隆徳氏が説明する。
「ペイオフを前に、地銀以下の金融機関は非常に厳しいことになる。すでに最近、信用組合や信用金庫は毎週のように破綻していますが、その動きがますます加速します。(11)中小金融機関の半分が消滅するくらいの事態になる」
こうして不良債権処理で体力を失うだけでなく、預金流出で資金繰りが苦しくなると、これまでどおり経営できる銀行はなくなる。さらに「株価や格付けが下がるといった要因が加われば、(12)3月に金融パニックが起こる」(経済評論家・黒田禄郎氏)のに加え、「(13)日本発の世界恐慌に発展する恐れもある」(明治大学政治経済学部教授・高木勝氏)という。
恐慌になれば、政府も強権を発動せざるを得ない。帝国データバンク情報部の中森貴和課長はこう予測する。
「'02年には、政府によって(14)国民の預金が封鎖される可能性があります。現在の銀行の体力を考えれば公的資金注入は避けられませんが、その際には、金融非常事態宣言を出さなければならない。しかし、そんな宣言を出せば預金はどんどん引き出され、金融パニックに陥ってしまう。それを防ぐために、1ヵ月くらいの預金封鎖が発令されるのではないかと私は見ています。それに備えて、国民はキャッシュを持っておくべきです」
この不況で収入が減るなか、生命保険離れは進む一方。解約や見直しは増え、外資系や中小生保の参入もあって、従来の生保は苦しい立場に追い込まれている。経済評論家の荻原博子氏は言う。
「パイが縮小しているところに新規参入があれば、生保が淘汰、再編されるのは当然。合併や統合で、生き残りの道を探ってくるでしょう。生保業界では『日本生命vs.他の生保連合』という図式になりますが、日生のライバルはすでに同業他社ではなく、損保の東京海上火災なんです」
東京海上は'01年11月、朝日生命から営業権を譲渡されることを発表。また、'02年には損保と生保が一体となった「超保険」なる商品を売り出す。いずれも、生保界を手中に収めるべく仕掛けた“先制攻撃”だ。
「'02年は、生保と損保の垣根がなくなっていく。保険業界トップの座を争って、(15)日本生命と東京海上が激突する」(荻原氏)という。
苦しいのは証券会社も同じだ。経済ジャーナリストの斎藤裕氏は説明する。
「全国の証券会社290社の分を合計すると、営業収益の前年同期比が27%減、経常利益がなんと95%減でした。上場している証券会社の大半は経常赤字。この厳しい事態を見れば、来期、(16)野村証券と松井証券だけが黒字を計上することになる」
株式市場は低迷したままだが、それでも「いまの株価はまだ高すぎる」と主張するのは、東海総合研究所理事長の水谷研治氏だ。
「企業の実態を反映するのなら、株価はもっと下がっているはずです。なのにいまの水準を保っているのは、行き場所をなくしたカネが市場に集まっているから。これ以上、上がる要因はありません。
まして、当初の基準価格1万円をほぼ半分まで割り込んだノムラ日本株戦略ファンド、いわゆる(17)野村1兆円ファンドをはじめとする投資信託は、ますます行き詰まることになる」
ゼネコンや不動産、流通などに加えて不振企業が目立つのが商社だ。
「多くの商社では業績が回復する見込みは薄く、淘汰と再編は避けられません。三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅の5社以外は厳しい状況になり、破綻も続出。また、この5社も(18)2大商社グループに大統合される」(経済評論家・廣瀬嘉夫氏)