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中堅ゼネコン青木建設の経営破たん以降、信用リスク不安が急速に高まっている。こうした中、資金回収を巡って熱きバトルが展開され、一部市場関係者の注目を集めた。バトルとは、ある都市銀行と大手商社の間で繰り広げられた「融資回収・預金引き揚げ」合戦だ。互いに疑心暗鬼に陥り、双方が自らの主張を通す文字通りの“仁義なき戦い”だ。
こうした情報は、逐一市場関係者の間に漏れ伝わり、信用リスク不安の度は増すばかりとなっている。
●経営不安企業同士の“刺し合い”
年末も押し迫った今月半ば、株式市場関係者の間である話題が関心を集めた。「株価が100円以下で低迷する都銀と、同じく100円以下銘柄である大手商社が刺し合っている」(銀行系証券)というものだ。話を掘り下げてみると、社債の流通利回りが急上昇(相場は急落)している某大手商社に対し、この都銀が融資条件の見直しを要請。つまり、「市場の評価が著しく下がっている」と判断して、融資金利の引き上げ交渉に動いたというのだ。
一方、商社側はこの都銀がメーンバンクではなく、お付き合い程度の取引しかなかった。当然のごとく融資条件の変更は受け容れられず、双方の主張の溝は埋まらず終い。結局、互いに取り引きを事実上解消し「融資回収・預金引き揚げ」に発展した。
●信用不安の悪循環
「金融庁の特別検査で経営不振企業を厳しく見直すよう指導されているように、経営環境が悪化した企業との取引を見直すのはあたりまえの行動」(銀行側)、「経営不振がささやかれる銀行から預金を引き揚げるのは、リスク管理の範ちゅう」(商社側)―。市場に伝わってきた双方の言い分はもっともな話だ。
ただ、この情報は、双方が株価100円以下の“信用リスク”銘柄だったことから、「株価にプラスになる話ではない」(外資系証券)としてマイナス視され、互いの株式に売り圧力として顕在化した。
●いずれ引き金に
今回のケースは、融資回収・預金引き揚げともに100億円弱の規模で、双方の経営に大きなダメージを与えるものではなかった。
ただ、こうした取引解消の動きが、「メーンバンクでなければ容赦なく手前どもの取引先企業が切り捨てられる」(別の都銀)とのイメージを銀行、企業の担当者に強く植え付けてしまったのも事実。
今後、こうした仁義なき取引解消が活発化するのは間違いない。今回は100億円規模の話で済んだが、「500億円、1000億円規模で同様の動きが出れば、銀行・企業ともに大流血戦につながるのは必至」(同)といえよう。信用リスクに対する不安は尽きない。