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【メキシコ市20日=大屋敷英樹】
経済危機で揺れるアルゼンチン各地 で19日、失業中の市民らが商店を襲って略奪する騒動が広がった。 首都ブエノスアイレスで商店強奪に加わった少年が経営者に射殺され るなど、全国で7人が死亡、140人が負傷した。デラルア大統領は同 日、全土に30日間の「非常事態」を宣言した。一方、カバロ経済財政 相ら全閣僚は辞表を提出、厳しい経済運営を続けるデラルア大統領 は2年前の政権発足以来最大の危機に直面した。
地元紙によると、19日の略奪事件では計550人が逮捕された。混乱 は20日未明も続き、首都ブエノスアイレスでは非常事態宣言に反対す る住民数万人が大統領官邸や国会前の広場を埋め尽くした。大統領 辞任を求める群衆に警官隊が催涙弾を撃ち込むなど一時的に緊張も 高まった。
アルゼンチン労働者同盟(CTA)は同宣言に反対して20日からのゼ ネストを呼びかけている。
アルゼンチンは、ブラジル、メキシコに次ぐ中南米第3の経済規模を持つ域内先進国だが、アジア経済危機の飛び火で1998年以降、景気後退に苦しみ、国内総生産(GDP)の51%に当たる1320億ドルの巨 額債務を抱えている。
こうした事態を招いた背景には、高度成長が続いた90年代に対外債務の返済に努めず、汚職や脱税も放置したメネム前政権の失政があ る。デラルア大統領も有効策を打ち出せず、求心力は著しく低下して いる。
辞表を提出したカバロ経済財政相は、緊縮財政の旗振り役として政権 の切り札的存在だった。
カバロ氏はメネム政権時代の91年、年率6000%に上る超インフレを 退治した功績で「スーパー大臣」と呼ばれた。今年3月、同氏の経済手腕を見込んだデラルア大統領にこわれて再登板。増税や公務員給与 の引き下げなど財政再建策を次々と打ち出し、17日には前年度比1 9%減の緊縮予算案を議会に提出した。国民には忍耐を訴えてきた が、クリスマスを控え、耐乏生活を強いられてきた国民の怒りは抑え切 れなかった。
アルゼンチンは今月満期の国債7億2000万ドルを何とか償還したが、1月以降も同規模の国債償還期限を次々と迎える。一連の騒動で、債 務不履行(デフォルト)に陥る可能性も強まっており、国際金融界の大 きな懸念材料になっている。
政府は19日、食糧700万ドル分を住民に無料配布することを決めるな ど、事態の鎮静化に躍起だが、小手先の対策では収拾できそうにな い。大統領への辞任圧力は一層強まりそうだ。
(12月20日21:46)