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東京株式市場が空前の投機売りに翻弄されている。19日には丸紅<8002>が一時60円台を割り込んで連日の上場来安値を記録したほか、住友金属<5405>も実に40年ぶりの30円台に突入。さらに、クラリオンやケンウッドがいずれも初の50円台割れとなったほか、川崎重工は23年ぶりの100円台割れ。東証第1部、第2部合わせると100円台割れ銘柄は全体の13%に達し、株価だけをみていると、まぎれもない「金融恐慌」の様相を呈している。
「容易に高まらない危機意識の下で、日本経済はいよいよ恐慌局面に入った可能性が強い」―欧州系証券の著名ストラテジストは最近、こんな書き出しで始まるリポートをまとめた。「高まらない危機意識」というのは上場企業の経営者を見る限り当を得ている。事実、株価が10円〜60円台に崩落した企業の経営者を前週後半から10数社、筆者が直接取材した限りでは危機意識をみなぎらせていたのは、ほんのわずか。ほとんどが「市場は間違っている」と憤るか、「困ったもの」と渋面を浮かべるケースで占められていた。
●倒産ラッシュ迫る!?
19日午前、九州最大手のスーパー、寿屋<8265>が熊本地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した(負債総額は2126億円)が、マーケットでは「先行性のある相場の流れをみていると、来年1〜3月にかけ、猛烈な倒産ラッシュに襲われる前兆ではないか」と懸念する声も挙がっている。
19日、東京株式市場で出来高トップを記録した丸紅は(1)保有しているエンロン債の損失が大きい(2)飼料関係の子会社が狂牛病問題に関連している―との噂が流れたが、同社はこれらを全面否定。売り崩しを狙うメリルリンチなど外資系証券の攻勢が凄まじいことで、「明らかに海外の投機筋が介入している。さまざまな噂も、株価引き下げを目論んだ口コミ」(準大手証券)といわれている。
一方、いまなお「デフレ・スパイラルの段階には踏み込んでいない」(竹中経済財政担当相)と、政府首脳は能天気まるだしの発言に終始しているのが実情。
●信用倍率は史上最低
しかし、兜町は、したたかだ。ピンチはチャンスとばかり、株価下落すら「好材料」として担ぎ上げる動きがここへきて目立ってきた。
3市場(東京、大阪、名古屋)ベースでの信用売り残は12月14日申し込み時点で1億1839万株。実に12年ぶりの高水準に達し、信用買い残(1億468万株)を信用売り残で割った信用倍率は0.88倍と史上最低記録を更新した。とにかく、「売れば儲かる相場とみて、信用のカラ売り注文を出す個人客が増えているのは事実」(中堅証券営業部)という。ただ、売るから下がる、下がるから売る、というこうした動きは相場の下げクライマックス局面で表面化するのが通例だ。
●下げの「陶酔的熱狂」
今回とはまったく逆に「買うから上がる。上がるから買う」のムードに乗って日経平均3万8915円という大天井をマークしたのが12年前の1989年暮。いよいよ相場はバブル崩壊後の下げのユーフォリア(陶酔的熱狂)の段階に入ったとみていい。信用のカラ売り残がどんどん積み上がっていくと、いずれ強烈な買い戻しの場面に転換するのは見やすい道理だ。来春にかけ、個別銘柄では相場巻き返しに向けたリバウンドの動きが相次ぐ可能性がある。
さて、そのような流れを先取りするかのように、19日午後には中堅証券投資情報部のアナリストが実態以上に売られすぎた銘柄をリスト・アップした。100円台割れの銘柄をPBR(株価純資産倍率)、株主資本比率、流動性比率、当座比率、手元流動性比率などの尺度をベースに洗い直したところ、浮かび上がってきた注目株は以下の10銘柄だ。(1)アツギ<3529>(2)タツタ<5809>(3)OM製<6213>(4)北川鉄<6317>(5)北越工<6364>(6)戸上電<6643>(7)新家工<7305>(8)オーバル<7727>(9)リズム<>(10)東海リース<9761>。
売り人気が峠を越えたあとを見越して、個別銘柄段階では反撃買いに動くタイミングが近づきつつあるようだ。
(楠 英司)