★阿修羅♪ 国家破産5 ★阿修羅♪ |
与党内の反論も見極めながら小泉改革は具体的成果をあらわしつつある。住宅金融公庫は廃止の方針が固まり、民間の金融機関はこれを活性化の口火にしようと勢いづいている。診療報酬の引き下げも患者負担の引き上げ、保険料率の改定、と三方一両損の中で実現した。景気てこ入れを自制し、失業の増加など国民に犠牲を強いつつも、断固として必要な改革が進められていることは心強い。国民の支持率も衰えていない。
一般の国民は実態を知らないから、と言う人もあるがそうではあるまい。既にだまされ続けて何が本当に大切かを見破っている、と考えた方が良い。日本の国債の格付けはG7諸国の中では最低になった。NGOのリーダーに対するアンケートでも21世紀に向かう日本の評価は中国やインドよりははるかに低い。こうした国際評価の急落は、戦後の復興、急成長やたびたびの危機を乗りこえてきた日本の対応力が期待に反し、ほとんど見られなくなったことへの失望に由来するものだろう。
政治が行政のおみこしに乗って本心を語らず、問題に正面から挑戦せず、先送りをくり返してきたからである。日本が世界に誇るべき特色や潜在的な力がないからではない。愚かにもそれらを抑え込むような発想や原則を後生大事にし、自縄自縛に陥っている。第一は人間の英知を粗略にする市場万能主義、第二は共同体の目的や志への回帰を忘れさせた経済成長への一辺倒、自己規律を尻抜けにしたマネーへの依存、試練がもつ自己変革の可能性を摘んだ唯物的快感原則などである。
これらの発想の限界を見破り、卒業して、日本人がその個性を取り戻すことは、孤軍奮闘する小泉首相に呼応して国民一人一人が挑戦できる新しい国づくりへの重要な課題である。 (猷)