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日銀が当座預金残高の大幅引き上げと金融調節手段の拡充を決めたのは、銀行株の下落や一般企業の資金繰り懸念など高まる信用不安を沈静化させるのが狙いだ。「伝統的な手法だが、限界に踏み込んだ措置」(外資系証券)と評価する声が強い。ただ、金融仲介機能が正常化するかどうかは未知数だ。「直接金融面で拡充策を強化して欲しい」(山崎拓・自民党幹事長)と話しているように、企業の倒産リスクを抱える形で日銀が資金供給する「非伝統的手法」への要請が強まる可能性がある。
速水優・日銀総裁は19日の会見で、「銀行の信任を必要以上に叩かないで欲しい。市場は不良債権処理など銀行の努力を認めるべきだ。銀行が信任を失えば、経済はおかしくなる」と訴えた。景気悪化や大型の企業破たんなどから株価が急落し、社債やコマーシャル・ペーパー(CP)の利回りが上昇(価格が下落)、一部の企業は資金調達が難しくなっている。
また、企業株の下落などから、銀行の不良債権の必要額がさらに増え、資本が大きく減少するとの思惑から、銀行株が急落を続けてきたが、これに対する危機感がにじんでいる。
日銀は、当座預金残高を上限の15兆円を目指し、徹底的な緩和そ実施する方針だ。同時に、企業が資金調達の際、発行し、銀行が保有しているCPを売り戻し条件付きで買い入れ、資金を供給する。CPや社債への安心感を広げることで、98〜99年のように優良企業でさえCPを発行できないといった危機を、何としても避けたい考えだ。
当座預金残高の大幅引き上げも、市場へのアナウンスメント効果という意味合いが大きい。10〜15兆円もの当座預金残高が可能というのは、実は金融仲介機能が麻痺している証左でもあるためだ。「短期金融市場では、資金の借り手の金融機関が余分に資金を取って当座預金に積み増したり、出し手が積み上げる動きが強い。みんながリスクを取らない状況」(金融筋)のためだ。この結果、当座預金と現金の合計であるベースマネーは急増しているが、実体経済には流れなくなっている。
ただ、速水総裁は「適格な担保の質を落とすことは考えていない」と言明しており、日銀が企業の倒産リスクを抱えることは難しく、市場の行き過ぎた動きに歯止めがかかるかは疑問だ。それだけに、今後、日銀が信用度の低いCPや社債を直接買い上げたり、銀行が低金利で貸出しをすべきだとの声が高まる可能性もある。 【藤好陽太郎】
( 2001-12-19-20:53 )