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三和、東海、東洋信託の3行からなるUFJホールディングスは15日、「UFJ銀行」と「UFJ信託銀行」に再編されたが、船出早々から重大な試練に立たされている。今年度内に処理予定の2兆円の不良債権処理などで発生する巨額の赤字の穴埋めや優先株の配当にあてるため、資本の一部である法定準備金のうち1兆円を取り崩す方針を固めた。最大の融資先となったダイエーに対する債権放棄を含めた支援も大きな負担で、財務基盤への影響も懸念されるなど、厳しい前途が待ち受けている。
三和、東海両行が合併したUFJ銀行は、東京三菱銀行に匹敵する総資産約80兆円、業務純益も4000億円規模。押しも押されもせぬ邦銀トップクラスのメガバンクが誕生したのだが、周囲は祝福ムード一色とはいえない。
“大きいことはいいこと”とばかりは言えないのが実情のようだ。
最大の問題が、言わずと知れたダイエー問題だ。
三和、東海、三井住友、富士の4行の融資額はそれぞれ4000億円規模で横並びだったのが、三和、東海の合併で8000億円規模といきなり突出、実質的な“メーンバンク”として大きな政治問題、社会問題になりつつあるダイエーの再建問題に最大の責任を負う必要に迫られている。
UFJホールディングスは、昨年9月中間決算の時点でグループの不良債権処理は2兆9000億円に上っており、今年度末までにうち2兆円を処理する方針で、3月決算では6000億円の最終赤字を見込んでいる。
UFJは不良債権処理額2兆円のうち、1兆2000億円は大口債権の処理にあてる方針だが、問題のダイエーの分類は9月中間決算の時点で「要注意先」にとどまっており、市場では「債権放棄などで、さらなる負担を余儀なくされるのではないか」(銀行担当アナリスト)との見方もある。
こうした不良債権処理損の穴埋めには従来、保有する株式の含み益などからなる「剰余金」をあてていたのだが、一昨年来の株式市場の低迷で枯渇し、含み損に転じる銀行も多い。
剰余金の枯渇により、株式の配当原資もなくなり、今期末、普通株は無配に転落する。さらに三菱東京フィナンシャルグループを除く大手行は、優先株の形で公的資金の注入を受けているが、これが無配になると国の議決権が発生し、実質国有化されてしまう。
そこで、「奥の手」ともいえるのが、法定準備金の取り崩しというわけだ。
法定準備金とは、将来の資本の欠損に備え、出資金や利益の一部を一定額積み立てるよう義務付けられているものだが、昨年10月の商法改正により、資本金の4分の1を上回る部分については、配当原資としての取り崩しも認められるようになっている。
三井住友銀行も今期末、法定準備金を5990億円取り崩すことを明らかにしているが、「UFJの1兆円というのは最大規模だ。“米びつの底が見える状態”だ」(証券アナリスト)との指摘もある。
昨年末には、普通株が無配に転落、決算が2期連続赤字見通しとなった責任を取り、いったんUFJ銀頭取就任を決めていた室町鐘緒三和銀頭取から一転、副頭取に就任予定だった寺正司氏への若返りという異例の人事を決めた。
だが、ダイエー問題も響いて市場の反応は厳しい。前週末11日の終値は26万9000円(額面50円換算で269円)と、みずほフィナンシャルグループの27万6000円(同276円)を初めて下回り、UFJは3連休明けの15日も寄付から値を下げた。
14日には、欧州系格付け会社のフィッチが、UFJ銀の長期債を「Aマイナス」、短期債を「F2」に格付けし、長期債のアウトルック(格付け見通し)は、将来の格下げの可能性を示唆する「ネガティブ(弱含み)」と発表した。
同社は、長引く邦銀の不良債権問題やデフレ下での日本の景気低迷が圧迫要因になると指摘している。
くしくも13日には旧三和銀行が主要取引先として、平成11年に約650億円の債務免除を行った大手住宅メーカー「殖産住宅」が倒産し、民事再生法の適用を申請した。
現在の同社本体の銀行借り入れはゼロで、市場不振で自ら「退場」した格好だが、債権放棄を受けても業績不振で株価が額面を大幅に割ったままで低迷する中堅ゼネコンや流通、不動産の不況3業種への風当たりはますます強くなるばかり、新たな再編・淘汰に拍車がかかりそうだ。
長期の不況に突入して健全な借り手が不在の日本経済で、銀行が収益力を上げるには、大規模なリストラを余儀なくされている。
向かい風の中、船出したUFJ丸は、どこに向かうのか。
◆「ダイエーはつぶさない」
UFJ銀行の寺西正司頭取は15日、同行発足式典後の記者会見で、ダイエーへの経営支援について、「ダイエーはつぶさない。UFJ、三井住友、富士の主力3行で、同社が元気になる絵姿を可及的速やかに描いていきたい」と強調した。同社に対する債権放棄については「再建にとって一番いい道なら、選択肢として考えていきたい」と述べた。
UFJ銀のダイエー向け債権が主力銀行で最大になることに対しては、「従来の主力行のうち、2つが偶然一緒になっただけ。新しく3行による協調体制で力を合わせていきたい」と語った。