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1月9日付の毎日新聞の抜本支援報道をきっかけに、経営再建中の大手スーパー、ダイエー<8263>の株式が商いを伴って急騰、“マネーゲーム”化が顕著になっている。同紙は、同社メーンバンク4行が債権放棄を含めた抜本支援策の検討を始めたと伝えた。これを機に同社を巡る報道合戦が加速。個人投資家が一連の報道を前向き材料とはやし、株価の急騰につながった。連休中の13日には日経が「産業再生法の活用による再建」も報じている。ただダイエーを巡っては、取引銀行や政治の複雑な思惑が絡んでいるのも事実。プロの投資家達は「今の個人投資家の動きは非常に危険」(銀行系証券)と警告する。
●小さすぎる「支援規模」
毎日報道を受け、市場関係者が抱いた感想は「支援の規模が小さすぎる」(米系証券アナリスト)点だ。債権放棄を強く否定し続けてきた三和・東海(UFJ)、富士、三井住友の主力4行だが、「いずれかのタイミングで債権放棄に踏み切らざるを得ないのは必然」(信託銀筋)との観測が大勢だったためだ。その額も「各行4000億円の債権のうち、それぞれ1500億円ずつ、最低でも6000億円規模になる」(先のアナリスト)との見方が支配的だった。この6000億円というコンセンサスでさえ「巨額有利子負債の圧縮には特効薬とならず、一時的なものとの位置づけが一般的」(別の米系アナリスト)だったため、株価の急伸とは裏腹に、同紙報道は「ネガティブ材料視された」(同)。
このため、「主力行のうちいずれかの銀行が、他の過重債務企業の最終処理に余力を振り向けるため、支援規模を小さくした」(銀行系証券)、「(主力行のどこかが)株価を一時的に浮揚させるため、あえて支援スキームの素案を中間段階でリークした」(国内系運用会社)など、様々な思惑が観測されている。
●危うい「急騰劇」
投資のプロ達が気迷いの度を深めるのを他所に、個人投資家が同紙報道を頼りに買い向い、株価は急伸。報道の翌10日はプロ野球球団ダイエーホークス売却を示唆する朝日、毎日報道で買いがさらに加速。「値動きの良さを見た証券ディーラーが一斉に買いに加わった」(外資系運用会社)ことから、同社株は一時128円まで買い進まれた。
毎日報道に対し主力4行は9日、「具体的なものは何も決まっていない」と前置きし、「経営再建に向けたダイエーの新3カ年計画策定に一致して協力する」とのコメントを発表。今後も同様のコメントを繰り返すことになろう。
だが各種メディアが伝えている通り、主力行の足並みの乱れは否めない。主力行同士が互いの手の内を探ろうと疑心暗鬼に陥り、「相互不信が相当なレベルに来ている」(別の関係筋)という。また、主力行以外の取引銀行の動向も不透明だ。足並みの乱れは知れ渡っており、「担当部署に情報収集を活発化させている」(地銀幹部)と動揺が広がりつつある。
米格付け会社が10日にダイエーの格付けを2段階引き下げるなど、「先行きが予断を許さない状況にある」(同)のは間違いない。出来高が厚みを増し、値動きが良いという通常のマネーゲーム銘柄の図式にダイエー株を当てはめるのは「情報が乏しい個人投資家には、あまりに危険が多すぎる」(米系投資信託のファンドマネージャー)と言えそうだ。
(相場 英雄)