投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 12 日 18:51:54:
●財政破たん寸前でも緊張感がない日本
「それは、(日本が国の防衛を米国に守ってもらっている)安全保障費用ですよ」−外資系の金融マンに、こうきっぱりと言い返された時、一瞬返す言葉を失った。
「やっぱり、そうなのか」という諦めに似た得心が、まず心の中を走り、しばらくしてから「米国も(防衛という日本の一番の弱みにつけ込んで大もうけを狙うなんて)変な国になったものだ」と、ささやかな「嫌米」感情が湧いた。
「外資は、残高が四百兆円にも達してしまった日本国債の暴落を仕掛け、大もうけする機会を虎視眈々(たんたん)と狙っているとの警戒心が日本では強い」−と、親しい外資系金融マンに質問したときのことだった。
九月初め、米国の有力格付け機関は、年内にも日本の国債を主要先進七カ国で最低のランクに引き下げると発表した。日本経済のデフレの進行で、政府の巨額債務の負担が一層重くなり、これが企業や金融部門にも負担を強いる、としている。
実際に引き下げられると、上から四番目のランクになるが、困ったことに、もう後がない。さらに五番目のランクに落ちると、危険な国債として内外の投資家の信用を失い、売り浴びせられる危険があるからだ。そうなったら、悲劇の国債大暴落だ。
国債が暴落すると、国債を七十兆円も抱えている日本の銀行、安全な運用手段と頼りにしている生命保険、さらに日本銀行などは巨額の損を背負い込み、第二の不良債権となってしまう。まさに泣きっ面にハチだ。
こうした国債の危険な状況を、早目早目に巧みに突けば、外資にとって大もうけのチャンスがころがっている。日本勢は、圧倒的に多くの国債を持ってはいるものの、実際の売買の市場では外資の方の影響力が強くなってしまったからだ。多くの日本勢のように後生大事に抱えていればいいというものではない。
では、当面の国債暴落のタイミングはなんだろう。よくいわれているように、官僚の抵抗で小泉改革が立ち往生した時などは、国債を空売りして暴落を仕掛けるタイミングだ。「小泉改革は『公約』ではなくて『口約』」などと国民に見放された時も大きなタイミングだろう。
さらに、米国の同時テロのように想像を絶する事件がいつ起こるか分からない。「事件発生の時、ブッシュ政権は米国債暴落の悪夢が一瞬よぎったに違いない」と指摘する金融関係者は多い。財政が黒字で減税する余裕のある米国でさえ自国の国債の暴落は最大級の恐怖なのだ。
それと比べると、財政破たん寸前まで落ち込んでいるのに日本には緊張感がなぜか感じられない。この奇妙な弛緩(しかん)こそが国債暴落の最大の引き金かもしれない。(紫煙)