投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 05 日 11:13:33:
エンロンが再建に向けて150億ドルの追加融資を受けることが発表され、これを好感して米国株式市場は大幅上昇。シスコが11月の受注状況を予想通りと発表し、UBSウォーバーグがアプライドマテリアルなど半導体関連株への強気のコメントを発表したことでハイテクもほぼ全面高となった。シカゴ先物はこの流れを受け10545円大阪比95円高で取引を終了。124円台の円安も追い風にして、グローバル市場でスクラッチ勝負の出来るハイテク値嵩株には買いが集まる可能性が出ているようだ。
一方、昨日のムーディ−ズの日本国債格下げにより市場は信用リスクに過敏になる傾向を強めよう。2005年以降、国際決済銀行(BIS)規制では、銀行が自己資本比率を計算する際に格付シングルAの国債は2割をリスク資産として分母に加えなければならず、日本国債はあと1段階引き下げられるとそのレベルに落ちる。このリスクをゼロにするか2割にするかはその国の金融当局の裁量に委ねられるが、保守主義の観点からは2割を選択するのが望ましいことは論を待たないだろう。
日本国債の格付けが主要7か国中最低となったことで、投資家市場は不測の長期金利上昇リスクを常に意識して投資をしなければならない環境となった。金利上昇による破綻リスクの増大である。昨日は市場の一部である外資系証券が出した「忍び寄る破綻の影」とサブタイトルのついたレポートが話題になっていたようだ。これは、負債比率の高い一部の企業社債と国債利回りのスプレッドの拡大に着目したものであるという。
まあ、当然のことながらデフレ傾向で不況が長期化している状況で、過剰債務に喘ぐ企業は決して触れないということだ。当然そのような企業に多額の資金を貸し込んでいる金融機関も。借金依存度が低く、長期金利上昇がメリットで、且つ、手持ちのドルが豊富な企業を買って、全く逆の銘柄を空売りする戦略は非常に効率が上がる環境が当面続くことになろう。ところで、中国が自動車の関税を引き下げるが、わが国はネギ、シイタケ、イグサの問題で成長市場への進出にハンディを被る可能性が出ている。このチグハグな動きが正にわが国の抱える問題を象徴していると言えよう。