投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 04 日 19:24:45:
NY(ウォール・ストリート・ジャーナル)今や破産裁判所のもとにある、この業界の先駆者米総合エネルギーエンロン(NYSE:ENE)と共に、エンロンの音頭に合わせて、エネルギー取引の行け行けドンドンの世界で踊った多くのエネルギー関連会社が、エンロンと共に利益と会計報告のあり方が再検査されるはめになった。
エンロンに対する投資家の信頼を最終的に崩壊させたのは、財務書類の虚偽報告と簿外債務に加え、よくわからない関係者との取引の開示だった。しかし、多くの批判が寄せられるのは、電気、天然ガスなどの取引をするほとんどの会社の財務諸表にあてはまる、これとは異なる種類の開示の問題だ。
問題になっているのは、いわゆる「時価評価」方式の問題で、エネルギー関連の契約とその他のデリバティブ商品について、将来実現すると推定される利益を現在の財務報告期間利益に算入することに関連して、財務会計基準審議会(FASB)がエネルギー取引業者に与えた自由裁量の問題だ。
多くのエネルギー取引会社では最近、このような会計処理から生じる資金の増減を伴わない利益が利益の相当部分を占めるようになった。多くの場合、このような利益は、将来の市場要因に関する仮定や推定を前提としており、その詳細については企業は開示をしない。
どの会社の前提条件が積極的過ぎるかとか、市場のどのような変化で前提条件が崩れ利益修正にいたるかなどについて、投資家が評価するのは困難だ。
「企業が利益報告で相当量の自由裁量が認められている場合はいつでも、利益を水増しする会社があるかもしれないという懸念を持つ」と、エネルギー取引会社を担当のアナリスト、ポール・パターソン氏は言う。
エネルギー関連の契約が、資産としてであれ、負債としてであれ、期末の貸借対照表上にある場合、時価会計基準の会計処理が求められる。例えば、ある期間に、ある価格で電力を買ったり天然ガスを売ったりする契約などだ。当該企業はこれらの契約の公正価格を推定する。こうして、四半期ごとの評価の変化が、資金の増減を伴わない利益や損失として、損益計算書に計上される。
ある会社の過去の未実現利益の規模を測定する方法の一つとして、キャッシュフロー報告書を検討する方法がある。この方法で、取引利益のうち資金の増減を伴わない部分を特定できることがある。エンロンの場合では、2000年12月期通期の税前利益として当初報告されていた14億1000万ドルのうち、半分を少し超える程度、そして1999年12月期通期の税前利益11億3000万ドルのうち、約3分の1がこれに該当した。
ダイナジー(NYSE:DYN)の場合では、未実現利益は2000年12月期通期税前利益7億6200万ドルの半分近く、1999年12月期通期の税前利益2億2700万ドルの大体半分に該当する。
ダイナジーの経営陣は、同社利益の質には何ら問題はないとの見解だ。そして、同社の2001年年初来9ヶ月間財務報告書を示し、同社が報告した利益には、未実現利益は入っていないと説明した。
他のエネルギー取引企業のうち、近年の利益が時価会計方式で膨らんでいる会社は、アメリカン・エレクトリック・パワー(NYSE:AEP)、デューク・エナジー(NYSE:DUK)、エルパソ・エレクトリック(NYSE:EPG)、エンタジー(NYSE:ETR)、ミラン(NYSE:MIR)、ピナクル・ウエスト・キャピタル(NYSE:PNW)、ウィリアムズ(NYSE:WMB )などだ。
エネルギー取引会社はどの程度の自由裁量を認められているのだろうか。
例えば、FASBとアメリカ会計学会(AAA)主催で先週開かれた会議で示された仮定例では、電力契約の公正価格は、将来のトレンドとしてどの前提条件を採用するかにより、1億5300万ドルから4000万ドルまでの範囲になった。
さらに、エネルギー契約に関して存在する時価会計基準の規則は、エンロンなどエネルギー取引会社の活動によるところが大きいのだ。「われわれがこれらの規則を開発した」と8月の取材の時に、エンロンのリチャード・コージー最高会計責任者(CAO)が述べていた。
(12月4日付Heard On The Streetより)