投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 03 日 18:40:20:
大銀行の中間決算はまさに目を覆うばかりの惨状である。三菱東京グループと住友信託銀行をのぞくすべての大銀行が今年度通期での最終赤字を予測せざるを得ないところまで追い詰められた。
その原因は大幅な不良債権の増加だ。みずほグループは今年度中に当初計画の4倍にあたる2兆円の処理を発表し、すでに大幅に処理額を上乗せしているUFJの2兆円と並んだ。大銀行全体では6兆5000億円もの不良債権が今年度中に処理される。
もはや不良債権処理のためには自己資本を削るしかなく、各行では経営安定のために積み立てている法定準備金を取り崩すなど瀬戸際に追い込まれている。
不良債権が一気に増えた最大の原因が金融庁が11月から始めた大銀行への特別検査にあると知ると、なんとも釈然としない。
検査では、これまで比較的安全とされてきた企業について、本当にその自己査定が正しいかどうかを点検することに重点が置かれ、いくつかの企業は「不良債権」の烙印を押されるとみられている。各行では、金融庁の姿勢がかなり強硬だと見て、どうせ“格下げ”が避けられない企業を自らリストアップし、それで増えた分の不良債権を今年度中に処理するために大赤字を出した。
特別検査と相前後して、大銀行は自己査定の見直しを迫られ、いくつかの企業を追加融資によって生き残らせることが困難な「破綻懸念先」に切り替えた。特に、≪大手ゼネコン2社≫がその中に数えられている。
≪ゼネコン2社≫の支援銀行首脳がこういう。
「金融庁は、そうした会社を健全な部分=グッドカンパニーと、採算のとれない部分=バッドカンパニーに分けて、悪い部分だけ処理しろといってきているが、部門ごとに収益性を見た場合、その2社のように経営がかなり厳しいところまできているゼネコンには、グッドな部分はほとんどなくなっている。通常通りの処理をすれば、むしろ健全な一部分を他のゼネコンに買収してもらい、残りは破綻処理するということに等しい。それでは、大量の失業や債務不履行を発生させることは間違いなく、再生にも何にもなっていない。現実的な処理方法としては、やはり各銀行が大規模な債権放棄をして助けてやるしかない。さもなければ、言葉は悪いが、これまで通り“塩漬け”にし、景気や地価が上がるのを期待するのがいいのではないか」
しょせん、大銀行の認識はこの程度か。