投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 03 日 18:38:39:
小泉首相は景気対策の第2弾として、来年の通常国会冒頭に2兆5000億円の第2次補正予算を組む方針を打ち出した。
しかし、今国会で成立した第1次補正で景気対策の財源となる国債は小泉首相が公約した30兆円枠いっぱい使い切ったため、2次補正では国債を発行せず、政府が保有するNTT株の売却益をあてることにしている。
実は、それこそが小泉改革の≪騙しのテクニック≫の最たるものだ。
NTT株の売却益は本来、銀行が破綻した場合の預金者保護にあてることが預金保険法で決まっている。旧北海道拓殖銀行以来の数々の銀行破綻によってすでに10数兆円が使われており、その資金はとりあえず交付国債でまかなわれているが、いずれNTT株の売却益で償還しなければならない。
ところが、小泉首相はその金を第2次補正予算の財源に横すべりさせて、景気対策のバラ撒きに使おうとしている。では、預金者保護の資金はどうするのか。
金融界では、来年4月のペイオフ解禁を前に、≪ペイオフ第1号はどの銀行か≫という破綻銀行探しがなされており、東北、関東、北陸の第2地銀の3行がその候補に取り沙汰されている。
本誌は前号で≪煽られるペイオフ危機≫を批判し、実際にはパニックの心配はいらないことを指摘したが、小泉内閣はそれを国民に説明しようとせず、あまつさえ、預金者保護の資金を景気対策に流用しているのだから、この期に至ってもまだ国民のパニックを煽っているのである。
ちょうど小泉内閣が発足した今年春頃から、規模の小さい地方銀行や第2地銀、一部の信金、信組では預金流出が止まらなくなっている。中には、地元の自治体を大口の顧客にしていたのに、自治体がパニックに巻き込まれて預金を引き上げたケースも少なくない。もちろん、自治体は資金を定期預金にしていることはほとんどなく、仮にしていたとしてもそれを普通預金に切り替えれば公金が失われるという最悪の事態は起きるはずもない。 慌てた金融庁は、特に定期検査が決められていない地銀や第2地銀に対して、片っ端から検査に入っている。が、それが逆に、「あそこは経営が危ないのではないか」という噂を呼び、預金流出が加速する原因にもなっているというから罪深い。
≪ペイオフ3行≫情報には2通りの見方がある。
1つは、金融庁がペイオフを口実に、地方銀行にまで税金投入を拡大させる伏線とするものだ。
実際、同庁は11月26日、福岡シティ銀行、九州銀行、和歌山銀行に総額1120億円の税金を投入すると発表した。国民の不安心理を募らせて、税金投入への批判をかわすには絶好のタイミングだったともいえる。
もう一方には、この機会に金融庁主導で地方の中小金融機関の大再編を進める構想が秘められているという見方がある。
かつて北海道拓殖銀行の破綻で北海道経済全体が現在に至るまで壊滅的状態を脱せないところまで落ち込んでしまった例をみても、地方に根付いた金融機関が日本経済を下支えしてきたことは事実だ。そこに何の対策も持たず、あまつさえペイオフ解禁という言葉だけをバラ撒いて危機を煽るなら、金融庁も小泉内閣も金融危機のA級戦犯のそしりを免れない。