投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 29 日 21:55:08:
「このまま不良債権を外資に貪り尽くされていいのか」――官邸には焦りが出始めていた。その一方で、竹中平蔵経済財政担当相など外資と深く結びついている“族”がいる。さまざまな思惑と欲が入り乱れ、RCCの隠れ蓑を借りて不良債権を宝の山に変えようという計画が今、始まった。公的資金を投入しても、峠さえまだ見えない不良債権問題。その解決に向けた切り札であるはずのRCCは一体どうなってしまうのか。
最後の最後まで残っている事実は「政府が国民を裏切り続ける」ことにほかならない。
●それは本当に「ミラクル」なのか？
先に政府は不良債権処理と過大な債務に苦しむ企業の再生という、これまで日本が悩み続けてきた重大な問題を一気に片付けられる、まさに「ミラクル」な秘策を打ち出した。改革先行プログラムに盛り込まれた整理回収機構（以下RCC）の機能の拡充策がそれだ。
その柱は、（1）不良債権の買い取りを柔軟に行えるようにする（2）新たに付与された信託機能などを組み合わせて多様な回収業務を可能にする（3）買い取りの対象となった不良企業の再生に積極的に取り組めるようになる―である。まさに政府が掲げる不良債権処理と企業再生を一体で進めるという方針に沿った内容だ。
しかし、このRCCの機能拡充がはたして本当に不良債権処理の切り札に成り得るのか。RCC社長の鬼追明夫氏本人でさえ、これら全てをこなすことは「神業的」と漏らすほどだ。そればかりかこのウラ側を見れば不良債権に群がる外資とRCC関係者のさまざまな思惑や欲が見え隠れしている。
●盲信には危険が伴う〜RCCの焦り
にもかかわらず関係者は「これで生き残れる」と安堵（ど）の表情だ。それもそのはずで昨年末までは、回収機関としての存在意義すら薄らぎ、職員の雇用さえ危ぶむ声が出ていた。それは一般の金融機関からの不良債権買い取り業務が、今年3月で期限切れとなるはずだったからである。この業務の評判と言えば、買い取り価格が国民負担を招いてはいけないという大前提があるため極めて低く、暴力団がらみなど銀行が回収に二の足を踏む特殊案件の掃き溜めのように言われてきた。しかしRCCにしてみればこの業務が今、まさに脚光を浴びようとしている。おかしな巡り合わせといえるかもしれない。
だが、その裏には前社長の中坊公平氏や鬼追現社長らの密かな焦りがあった。不良債権の回収では、担当者もヒトの子だから、最初は比較的簡単なものから始める事になる。従って、月日が経てば回収が困難なものばかりが残ってしまい遅々として実績が上がらなくなってしまう。このため、職員の間にはやみくもに実績を追いかける余りに、深刻なモラルハザードが生じてきたのである。ある地方ではRCC自身が「不適切な回収だった」と、記者会見の場で認める事態が起きていることが何よりの証拠であろう。
多くの人は恐らく知らないであろうが、RCCを「中坊機関」に育て上げ、国民からも人気が高かった中坊前社長はこの「不適切な回収」騒動の責任を取り、RCCから身を引く事になったのだから、そのショックの大きさが分かるであろう。この事件は、現在も国会で野党の追及を受けている。RCCへの盲信には、やはり危険が伴うと言わざるを得ない。
●複雑な内部事情〜旧住専と破たん金融行員
中坊氏が国民的な人気を背景に住宅金融債権管理機構（以下・住専機構）に残した精神は、その業務を引き継いだRCCにも深く刻み込まれている。このため、自らの使命は「回収の極大化」にあると考える社員が多い。多いというのは、RCCには合併行と同じような事情を抱えているからだ。RCCには社員に出身別の見えない壁があると言われ、しかも2つの勢力には歴然とした力の差が存在する、といわれる。
一方が、住専機構出身の弁護士が中心とした旧住専の社員。そしてもう一方が、元の整理回収銀行の出身で破たんした金融機関の行員らである。RCCを良く知る人間は中坊イズムを掲げるRCCでは住専機構出身者の発言力が圧倒的に強い、と指摘する。
RCCは「三つ子の魂百まで」ではないが、どんなに機能が拡充されてもこの思想は変わらないのだ。
＊「金融再生最前線」〜不良債権は宝の山か、整理回収機構をめぐる思惑＜下＞
は、12月6日に掲載の予定です。
○URL
・「外債投資」失敗で冷や汗〜金融機関に新たな火種
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/28/20011128142511_74.shtml
・「金融再生最前線」〜再編第2幕はあさひ銀行の行く末から動き出す＜下＞
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/22/20011122094006_63.shtml
・「金融再生最前線」〜再編第2幕はあさひ銀行の行く末から動き出す＜上＞
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/15/20011115092018_47.shtml
・「金融再生最前線」〜露呈した三井住友のアキレス腱、どうなる最終判断＜上＞
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200110/25/20011025122517_40.shtml
・「金融再生最前線」〜露呈した三井住友のアキレス腱、どうなる最終判断＜下＞
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/01/20011101111012_87.shtml
・「金融再生最前線」〜すでにソフトバンクは「過去の話」？
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/08/20011108102004_45.shtml
・銀行株急落は事業法人の見切り売り〜持ち合い解消活発に
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200111/13/20011113114002_85.shtml
[東山恵 2001/11/29 10:14]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。