投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 29 日 03:21:04:
米国最大手証券、メリルリンチの日本法人「メリルリンチ日本証券」は、国内の一般顧客向けのリテール(個人向け)事業から事実上撤退する方向で検討に入った。今後は黒字を続けるホールセール(法人事業)部門に特化した営業に転換する。
メリルリンチ日本のリテール事業は、破たんした旧山一証券の約2千人の社員と28店舗を98年に引き継いで始まった。外資系金融機関による日本進出のシンボルだったが、相場低迷に加え、欧米流の営業手法への抵抗感などから、赤字がかさんでいた。大都市の一部に絞ってリテール機能を残す可能性もあるが、一般個人客を対象とした営業からは撤退する方向で最終調整している。
メリルリンチ日本証券は、「3年で黒字転換」の目標を掲げたものの、設立初年度の98年度に約260億円の経常赤字を計上。その後も苦戦が続き、今年3月期も248億円の経常赤字だった。
今年3月には、メリルリンチが日本に上陸したときからのホールセール(法人取引)専門の日本法人と統合し、立て直しを図っていた。
一方、米景気の急減速と同時多発テロの影響で、米国メリルリンチも急速な業績悪化に陥った。この夏に社長に就任したスタンレー・オニール氏の陣頭指揮のもと、海外部門を中心とした業務の全面的な見直しに入っていた。
これまでに英ロンドンのトレーディング、商業銀行などから撤退したほか、カナダのリテール部門を地元の銀行に売却する計画を発表したばかりだ。
メリルリンチ日本も今夏、池袋など首都圏の5店舗と大阪の1店舗を閉鎖している。世界規模のリストラ方針のなかで、日本でのリテールから事実上の撤退にかじを切ることにしたと見られる。
日本の株式市場の低迷が続く中、メリルリンチ以外の外資系証券も、米国大手のモルガン・スタンレーが今月、日本でのリテール事業から撤退する方針を発表するなど、日本市場からの撤退や業務縮小の動きが相次いでいる。