投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 28 日 10:08:24:
【ワシントン26日=気仙英郎】
米エネルギー大手、エンロンの経営危機の表面化は日本の電力市場の規制緩和の行方に大きな波紋を引き起こしそうだ。日本政府はエンロンの日本市場への参入意欲をテコに電力市場の一層の規制緩和をもくろんでいただけに、エンロンが撤退するという事態が起これば、日本のお家芸である「外圧の利用」が難しくなることを意味する。国内電力業界の巻き返しが強まることは必至で、市場開放消極論が優勢になりかねない。
エンロンはテキサス州でのガス事業を基盤にした二社が合併して一九八五年に創立され、現在のケネス・レイ会長のもとで急成長したエネルギーのベンチャー会社。
米国内だけでなく欧州、アジアで発電から電力小売りまで手がけ、特に、エンロン・オンラインという電力や天然ガスなどの先物やオプション取引を行うネット市場を作って、高収益を上げてきた。
つまずいたのは資金調達を目的とした投資会社との取引で巨額の損失を出した上、粉飾決算疑惑が表面化したからだ。先月十六日に発表した七−九月期決算で十億ドル以上の特別損失を計上、六億千八百万ドルの赤字に転落した。
その後、米メジャー(国際石油資本)シェブロンテキサコグループの電力会社、ダイナジーに買収されることが決まった。だが「買収に向けた手続きが進んでいて楽観的な見通しを持っている」(ダイナジーのスポークスマン、ジョン・ソーサ氏)との会社側の説明とは裏腹に、市場ではエンロンの財務体質に対する不安から合併計画の破談を予想、株価下落が止まらない。
もし同社の経営破綻という事態が起これば、エンロンの子会社のイーパワーが計画している青森県六ケ所村や愛媛県松山市での発電所建設が頓挫することが予想される。エンロンは日本の大口電力の自由化に風穴をあけ、さらに家庭用の小口電力の自由化も主張していた。
それだけに今回のエンロンの失敗は国内の電力業界にとって、早急な電力自由化の弊害を訴える有力な論拠となるのは確実。経済産業省にとって、エンロンの経営危機は思わぬ伏兵となった。