投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 27 日 11:08:22:
東京三菱銀行<8306>が持ち株4000億円をETF(株価指数連動型投信)に換え、株式保有高の圧縮に動いた。株券を市場に放出せず、大量の持ち合い株を処分する“裏ワザ”である。兜町では「持ち合い解消売りの受け皿である銀行保有株買取機構の使い勝手を東京三菱銀行が懸念して、回避策をとった」(準大手証券)など、さまざまな噂が流れている。
●ポートフォリオ調整に1000億円
東京三菱銀によるETF取得は、11月17日に一部報道機関が伝えて明らかになった。19日月曜日には三菱重工業<7011>、東京海上火災保険<8751>、三菱商事<8053>など、持ち合い解消売りに振り回されてきた三菱グループの名門企業が売り要因後退を材料にして値上がりした。
東京三菱銀は、保有していない銘柄を1000億円分買い足して、TOPIX(東証株価指数)連動型ポートフォリオに作り直し、株券を野村アセットマネジメントが運用するTOPIX型ETFと交換した。
市場の関心は、東京三菱銀が1000億円も動かしたことだ。株式買取機構が発足すれば、持ち合い株を市場に出さずに処分することが可能になる。それにも関わらず「わざわざ欲しくも無い株を買い足してETFと交換する必要があるのか」(同)と、市場関係者は真意を計りかねている。
株式買取機構には銀行救済策との批判が根強い。東京三菱銀がかつて公的資金注入から距離を置いた経緯もあり、「みずほグループなど買取機構を利用しそうな他銀行との差を誇示するスタンドプレーではないか」(国内機関投資家)などと、うがった見方さえ出ている。
●他銀行には真似できない?
何事につけ横並びと言われる銀行業界だが、大量保有株のETF化は東京三菱銀だからこそ実現した“芸当”のようだ。今回、ETF化したのは旧東京銀行の保有株と言われている。財閥色の薄い東京銀行は「銘柄構成に片寄りが少なく、ポートフォリオ構成はTOPIXに近かった」(同)とみられているからだ。
日本生命や第一生命など一部を除き、都銀や信託銀などほとんどの大手金融機関の持ち株構成は、グループ企業株に片寄っている。このためETFと交換するためのTOPIX型ポートフォリオへの組み替えには、東京三菱銀以上のコストが発生するとみられている。他の大手行による持ち合い解消売りは、少なくとも買取機構発足までは衰えることがなさそうだ。
(半沢 昭悟)
・東京三菱銀行
http://www.btm.co.jp/