大手銀行決算:「問題企業」選別に本腰 再編・淘汰待ったなし[毎日新聞11月26日]

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投稿者 sanetomi 日時 2001 年 11 月 27 日 05:13:58:

 大手行の01年9月中間決算や02年3月期決算見通しから浮かび上がったのは、不良債
権処理を大幅に進める結果、銀行の体力がかつてないほどすり減ることだ。剰余金が1兆
円規模で残っている三菱東京フィナンシャル・グループと、他の3大グループや下位行との
体力差は拡大、今後の景気や競争激化を考えると再度の再編や公的資金の再注入も一概
に否定できない状況になってきた。

 三菱東京のうち特に東京三菱銀行は、不良債権と株価含み損で他行をリードしている。不
良債権面では、他行に先駆け今年3月期、貸し出し金利を緩和している融資を数%の引き
当てが必要な「要注意先債権」から、軽微な不良債権で15%程度の引き当てが必要な「要
管理債権」に9000億円近くも転落させた。

 しかも、金融庁の特別検査の対象である特定業種の中で、注目されている事業会社が法
的整理に至った場合でも、大きな追加負担が発生しなよう、すでに十分な引き当てをしてい
るのが大きなポイントだ。他の大手行は巨額の不良債権を処理し、02年3月期でやっと東
京三菱と同水準に並ぶとみられる。

 各行は株式含み損についても、今年度中に、株式含み損をほぼ全額処理する。このた
め、あさひが法定準備金の8割以上を取り崩す方向で、大和、三井住友、UFJなども軒並
み、優先株の配当原資になる剰余金が枯渇し、法定準備金の取り崩しを検討する。

 東京三菱は剰余金が1兆2000億円余もあり、「上半期に預金が1兆4000億円も増えて
いる」(三木繁光頭取)と余裕を見せつけた結果になった。ただ、東京三菱は大企業融資を
軸に利ザヤが厳しい状況で、今後、過当競争が展望される中で、「どうやって稼いでいくの
か」という課題が残る。

 法定準備金の取り崩しを検討している大手行は、不良債権が増殖すれば「来期以降、地
獄を見る」(大手行首脳)ことになる。さらに、大手行はすべて自己資本比率が8%以上を維
持しているが、下位行は、「注入された巨額の公的資金と、将来の収益で支払われる税金
の繰り戻し分で構成される資本を除けば、自己資本が全くなくなってしまう銀行もある」(金
融筋)状況で体力差が鮮明化してきている。

 銀行の貸し出しの減少は46カ月連続に達し、「なお銀行数が多すぎるオーバーバンキン
グの状態」(日銀筋)との指摘もある。デフレ進行で、不良債権が次第に重みを増すなか、
不良債権の増殖がストップしなければ、再度の再編や公的資金の再注入も現実的な話に
なるだろう。 【藤好陽太郎】

 大手行が02年3月期決算で6兆4450億円規模の不良債権を処理する大きな要因は、
過剰債務を抱えたゼネコン(総合建設会社)や流通、不動産といった「問題企業」に対する
引き当てを大幅に積み増したためだ。中間決算発表の席上、各行の首脳は異口同音に「再
編を含めた抜本的な処理に取り組む」と強調。経営不振に苦しむ企業は、いよいよ待ったな
しの再編・淘汰(とうた)を迫られる。

 西川善文・三井住友銀行頭取は「銀行が意図的に取引先を倒産に追い込むことはない
が、やむを得ず法的整理のケースが出てくるかもしれない」と指摘する。

 不良債権で問題視されてきたのが、回収に注意を要する「要注意先債権」の扱い。きちん
と利払いをしているが、一時的に赤字だったり、多額の借入金の割に、もうけが少ない企業
などが該当する。銀行側は、この部分の債権に対し、2〜5%程度(無担保部分)しか引当
金を計上していない。だが、要注意先だったマイカルの破たんで、銀行不信は増幅され銀行
株全体が急落。特別検査の実施を含めて抜本的な処理を表明せざるを得ない状況に追い
込まれた。

 各行は02年3月期に、要注意先の引き当てを大きく引き上げるうえ、要注意先の中でも
貸し出し条件の緩和をしたり、3カ月以上返済を延滞している「要管理先債権」は従来の1
5%から最大35%にアップさせる計画だ。とりわけ、ゼネコンなど問題業種については引当
率を高め、あさひ銀行が38%、三井住友銀行が25%に上昇させる。関係筋によると、ある
大手行は、1000億円を超える超大口融資先だけで1兆円強の処理原資を用意した。関係
者は「債権放棄や会社分割、債権を株式に転換するなどあらゆる手法を使い、合併・再編な
ど企業再生や処理を進める」と言い切る。

 預金・貸し出しの利ザヤの拡大や資産の圧縮を各行とも生き残りの課題に挙げる。住友
信託は、取引先の信用リスクに見合った金利が取れなければ要管理先債権にカウントする
が、その利ザヤを0・5%から1%に切り上げ、計1100億円強も増やした。

 銀行がなりふり構わず、こうした策を推し進めようとするのは、不良債権の処理原資がほ
ぼ枯渇したため。本業の収益を拡大しなければ、株式市場や預金者の信任を失い、銀行自
体が国有化の危険にさらされる。多くの大手行は「来期以降、V字形の業績回復が見込め
る」(みずほホールディングス)と自信を見せるが、景気低迷が長期化するなか、目算通りの
収益を確保できるか、不透明な部分が多い。 【江南護、藤好陽太郎】



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